2003年10月28日(火)「しんぶん赤旗」
自民・公明党などが今年三月の国会で消費税法改定を強行しました。その一つ、消費税納入を免除する対象事業者を年間売上高三千万円以下から一千万円以下へと縮小する、いわゆる「免税点の引き下げ」は、実施を前に実態が明らかになるにつれて小規模事業者にとって過酷な徴税となることが明らかになってきました。消費税の悪税ぶりがますます鮮明となっています。
国税庁はリーフレットやポスター、テレビ・ラジオも使って、改定消費税の周知に懸命になっています。個人企業あての「ご案内」を出して企業を呼び出し、記帳指導をしようとする動きもでています。
業者団体も勉強会を催すなどして、みずから改定内容を把握しようとしています。
このなかで明らかになった一番の問題点は「免税点の縮小により、年商一千万円のような小零細企業・業者にまで課税対象が広がることで『能力を超えた徴税』を生むことだ」と全国商工団体連合会の谷野洋常任理事は指摘します。
谷野さんによると、年商一千万円といえば小売業では専業での生計がたたないほどの規模。その業では食べていけないような人、それでやっと生計を立てているような人への課税を意味します。
これを統計からみてみると──。
国民生活金融公庫総合研究所の「小企業の経営指標」(二〇〇一年版)では、酒小売業で売上高に占める粗利の割合は一割強、書店でも一割台です。粗利が一割というと、一千万円の年商なら、仕入れを除いた粗利が百万円、月額でいうと十万円を切ります。このなかからさらに経費を引いて残った額が生計費です。「払えない」のが実情です。
政府の二〇〇〇年度の試算では、納入免除対象を年商一千万円以下にした場合の新たな課税事業者は百三十六万事業者で、これまでの一・六倍の三百六十二万事業者に対象が一気に拡大するのです。
業者の間では「消費税が課税されれば営業が成り立たない」「生計が立たない」との悲鳴と怒りが広がっています。
消費税が悪税であるもう一つの理由は、申告に事業者にたいする過重な実務負担です。
事業者の消費税の申告では、支払うべき消費税額、差し引くべき仕入れ額は自分で「証明」しなければなりません。
このため、税額の計算、その根拠となる記帳・記録をし、それを七年間も保存しなければなりません。
政府は小規模事業者へのこの負担を軽減するとして、簡易課税制度の利用を勧めています。しかし、この制度でさえ、仕入れ率は、業種ごとに異なり、過大な負担は避けられません。
「小規模事業者にとって消費税は、能力を超えた課税と実務負担という点で、まさに『苛斂誅求』(かれんちゅうきゅう=厳しくてむごい)の悪税。私たちは、小規模事業者を一気につぶそうとするこのような消費税とその改悪を断じて許せません。今回の選挙でも、国会内外で唯一消費税反対を貫いてきた日本共産党とともに全力でたたかいたい」と谷野さんは語ります。
(1)免税点の引き下げ
事業者が税務署に納める義務が免除され る課税売上高の上限を3000万円から1000 万円に引き下げ
―法人は(3月末決算の場合)2004年 4月からの実態に、個人事業者は05年 1月からの実態に課税
(2)簡易課税制度の適用縮小
簡易課税制度を利用できる事業者の課税 売上高の上限を現行2億円から5000万円 に引き下げ
(3)総額表示の義務付け
消費者に価格を表示する際に、消費税額 を含めた総額を表示しなければならない