2003年10月24日(金)「しんぶん赤旗」
残業しても割増賃金を支払わないサービス残業のある事業所が35・8%もあることが二十三日までに、全国の労働基準監督署の調査で明らかになりました。厚生労働省がまとめたもの。
全国の労働基準監督署は今年六月、四千三百十一の事業所に立ち入り調査をおこないました。その結果、千五百四十三事業所(35・8%)で労働基準法三七条違反の残業代不払いが明らかになり、是正を指導しました。サービス残業が見つかった事業所は二〇〇一年の29・0%、〇二年の32・9%とふえつづけています。
労基法三七条は、労働者が時間外労働や休日・深夜労働をした場合、使用者は「割増賃金を支払わなければならない」と規定しています。
千五百四十三事業所のうち、算定の基準額を間違えるなどのケースを除くと、全体の20・9%にあたる九百二事業所で、月四十時間残業したのに、実際には二十時間分の残業代しか支払われないなどのケースが多く見られた、と厚労省は説明しています。
東証上場の製造業企業が三年間で正社員を三十万人削減するなど、大企業でリストラ・合理化が横行する一方、残された職場では過労死するほどの長時間過密労働が常態化しています。こうしたことを背景に、「サービス残業」への社会的な批判が高まり、相談も増えていることなどが要因と考えられます。
厚労省は、二〇〇一年四月に「サービス残業根絶通達」、今年五月に「サービス残業解消対策」のための「要綱」と「指針」を発表。十一月を「賃金不払残業解消キャンペーン月間」とし、パンフレットの配布や学習会の開催などを通じて「違法状態の解消に取り組む」としています。
日本共産党は一九七六年に参院で初めて「サービス残業の根絶」を求めて以降、衆参で通算二百四十一回にわたり、サービス残業問題を取り上げています。