2003年10月18日(土)「しんぶん赤旗」
政権をとったら必ず実行します──こんなふれこみの「政権公約(マニフェスト)」ばやりです。民主党は全候補者に署名までさせて一致結束ぶりを強調。自民党は「小泉改革は着実な前進をし、実績をあげている」(安倍晋三幹事長)とのべています。しかし、現場では様相が違うようです。
「小泉(純一郎首相)さんの“ムダをなくす”というところに問題もあった。“ムダをなくせば景気がよくなる”というのは正しくないところがある」──東京十区の自民党・小林興起前衆院議員は、小泉「改革」を真っ向から批判。今年九月まで小泉内閣の財務副大臣で、経済運営の責任を負う立場にありました。「選挙を終えた後、自民党の議員が、みなさんが思っている中身をやっていかなければならない」と公共事業の必要性を力説するなど、「政権公約」などどこへやらです。
総選挙の大争点となっている消費税増税問題でも、「政権公約」とはあべこべの主張をする予定候補者が続出。自民党の埼玉三区・今井宏元衆院議員は、後援会員向けのビラで、「当面の消費税率引き下げと大幅な減税の実行」と税率引き下げを主張しています。
同じく自民党の東京七区・松本文明氏も「“国の財政が厳しいから消費税率のアップを”…これでは国民が納得しない!」「3%に始まり、5%へ、そして次は…外国ではもっと高いからというのは理由にもならない」とビラに明記。「消費税値上げ」の「断固阻止」のイラストまでかかげています。
「将来の消費税率引き上げについても国民的論議を行い、結論を得る」と増税路線に踏みこんだ公約はどこ吹く風です。
民主党も、基礎年金の財源として将来的には消費税をあてると公約し、菅直人代表は消費税率10%に言及しました。
ところが、同党の常任幹事である東京九区・吉田公一前衆院議員は「年金財源が無いからといって、消費税を10%にするという政府の方針では、景気回復の芽を、出る前に踏みつける様なものであり、政策として早計なものだ」とビラに堂々と明記。
同じく千葉八区・松崎公昭前衆院議員も、「福祉名目の消費税の増税は必要ありません」とビラに書いています。
消費税をなくす広島の会が行った県内の総選挙立候補予定者を対象にしたアンケートでも、民主党候補は、「賛成、反対、その他」の選択肢のうち、「その他」に丸をつけ、「安易な引き上げは経済や国民生活に打撃が大きく、慎重であるべき」と回答しました。
期限を切った数値目標、政権をとったら必ず実行──がうたい文句の「マニフェスト対決」ですが、実態とはどうやらかけはなれているようです。