2003年10月17日(金)「しんぶん赤旗」
【ワシントン15日遠藤誠二】米カリフォルニア州南部で、スーパーマーケットに勤める労働者約七万人が、医療保険の負担増に反対してストライキに入りました。同州では、ロサンゼルスの都市交通局の労働者も十四日以来、医療保険制度の改善を求めストを続けています。
スーパー従業員のストは十一日夜から始まりました。ラルフズ、ボンズ、アルバートサンズの州内三つの大手スーパーチェーンの八百五十店舗に勤務する七万人が決行しました。現地からの報道によると、会社側は医療保険の高額化にともない従業員に「週五ドルから十五ドルの負担増」を持ち出すなど改悪を試みようとしています。
これに対し労働者側は「過去五年間で会社は倍近く利潤を増やしており、会社側が医療保険の充実に向け負担を増やすべきだ」と主張しています。
一方、十四日からストを実施している都市交通局の鉄道・メトロレールの整備士ら二千人はスト二日目に入り、市民五十万の足に影響がでています。また同交通局のバス運転手約六千人もこのストに呼応して整備士らとともに各所でデモをおこないました。
米国では、高齢者、障害者、低所得者以外の公的な医療保険制度が存在せず、個人や雇用者が民間の医療保険に加入しています。しかし医療費の増大により、保険料が高騰、生活を直撃する事態となっています。
全米食品商業従業員組合(UFCW)の調査によれば、国民の医療保険にかかる費用は過去十年で十倍となりました。とくに、ブッシュ政権のもとでは、保険のない国民が年間で新たに二百四十万人も増え、総計では国民全体の15%以上の四千三百六十万人に達しています。またこのままだと、二〇〇六年には五千三百万人以上になると指摘しています。UFCWは、「医療費の高騰だけでなく、企業による医療保険切り捨てが問題の主因となっている。これに最近の失業増大が追い討ちをかけている」と説明しています。