日本共産党

2003年10月17日(金)「しんぶん赤旗」

同時報告 イスラム首脳会議

日本共産党参院議員 緒方 靖夫

オブザーバー国も増え、30年の歴史で最大規模に


 十六日午前十時、イスラム諸国会議機構(OIC)首脳会議が始まりました。新しい政治都市プトラジャヤに、この日のために建設された国際会議場の四千の席が色とりどりの民族衣装の各国代表であふれています。

 国際政治のなかでの注目度の向上も反映して、OIC三十年の歴史でもっとも大規模な会議となっています。五十六カ国・一機構の加盟のほかに、その一歩手前の資格となるオブザーバー国も増えているのです。それに加えて、マハティール首相が二十二年間在職した首相職から月末をもって引退し、国際舞台で最後の舞台になることもあげられます。

 開会総会でのハイライトは、大会議長に選出されたマハティール氏です。原稿には目をほとんど落とさずにおこなった三十分の演説は、イスラムの平和と発展についての哲学を、数世紀の歴史を振り返り説くものでした。現在の問題は、パレスチナ問題で、この間闘争に進歩がなく事態はむしろ悪化していることへの言及ぐらいでした。パレスチナ代表の不興を招くことを覚悟してのこのくだりは、歯に衣(きぬ)をきせぬ「マハティール」節でもありました。

 今日の政治問題については、次期首相になるアブドラ副首相が非同盟諸国会議議長国代表の資格でおこない、イラクの主権回復への道、国連中心主義、多国主義の堅持を明確に述べました。

 もう一つの注目は、ロシアのプーチン大統領のオブザーバー参加です。同大統領が演説で、OICとの関係強化をつうじて国内外で新しい可能性を開く決意をのべ、国連憲章にもとづき「内政不干渉」の厳守で新しい関係の構築、さらに国内で回教寺院、施設の充実、回教文化の保護と発展をのべると、民族衣装を着たアラブ諸国代表もふくめ満場から大きな拍手が繰り返されました。

 旧ソ連は、アフガニスタン侵略で「イスラムの敵」となり、イスラム諸国でも東南アジアでももっとも「脅威の大きな国」でした。今日のロシアもイスラムからは、もっとも遠い国ですが、みずからこの会議に参加し歓迎されたことは、プーチン氏のフットワークのよさと同時にロシア外交の目配りのよさを示しています。ロシアはイラク戦争前夜ごろから、世界政治での存在感を示してきましたが、この会議でのプーチン演説はその感をいっそう強くしてくれました。

 会場の外交団席で、出張中の中国大使に代わって出席していた中国大使館の次席の楊玲珠公使(女性)と会いました。有人宇宙船の打ち上げ、帰還の成功を祝福し、前日に聞いた日本での夕刊各紙の扱いと見出しも話しました。私は、朝の華字紙星州日報で覚えたばかりの中国風の「神舟5号」という船名の略称を中国語で話したので、公使は驚き喜びながら、成功の様子を語ってくれました。東南アジアの専門家である公使とは、東南アジア諸国連合(ASEAN)条約への加盟など今日の中国外交についても話がおよびました。


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