日本共産党

2003年10月16日(木)「しんぶん赤旗」

相次ぐJRトラブル

民営化で技術者リストラ

安全対策 下請けまかせ

解説


 一面所報、JR東日本の中央線線路切り替え工事によるトラブルの背景には、安全対策まで下請け会社にまかせる“丸なげ方式”の会社姿勢があります。

 JRは分割民営化後、専門的技能を持つ技術者が「リストラ」で配置がえされたり、退職したりして、技術の継承や設備管理能力の低下が危ぐされてきました。さまざまなトラブルが続出しているにもかかわらず、技術が追いついていません。

 JRの技術者と関連協力会社の技術者の作業に対する負担の割合は、今では逆転しています。電気や土木部門の大手の協力会社はすべてJR幹部の天下り会社です。この直系会社が技術の蓄積・継承・知識がないまま「トンネル会社」化し、さらに孫請けまかせにしているのが実態です。孫請け会社が実質的な工事施工会社になっているケースは多くあります。車両の検査修理や設備(電気・土木など)部門は直接利益を生みださないためです。

 工事現場ではJRの監督員が配置されています。この監督員はJRのいわば“幹部候補生”で、現場経験も積まずに短期間で異動していきます。従って、工事全体に責任を持つ技術的経験や設備管理の経験も乏しく、指導・判断ができ得ない場合もあります。工事のための間接的な手続き要員として配置されているのが実情です。

 JR、協力会社、その下請け会社との間で、工事に関する責任ある指揮命令系統が確立されていないのです。実質的な責任の所在は、あいまいにならざるを得ません。

 JRは一連のトラブル・事故に関し、工事規模に応じた責任者の決定、チェック体制の強化、当日作業を減らし、事前作業の比率を高める、作業終了時に段階的な検査を実施する−−などを提起しています。

 しかし、管理手続きなどを強化・追求しても、公共輸送機関としての自覚と責任を認識して発想を転換しない限り、結局、安全対策は利益優先の後方に追いやられてしまいます。その結果、トラブルや事故、うっかりミス続発の悪循環を繰り返すことになってしまうのです。(米田憲司記者)


 中央線の線路切り替え工事は、九月二十七日夜から二十八日朝にかけて、東京・三鷹−国分寺駅間で実施されました。三鷹−立川間十三キロのうち、九キロを高架化し、十八の踏切を廃止する工事の一環。二十八日未明、武蔵小金井駅付近のポイントで異常を発見。午前六時の工事終了予定が八時間近くも遅れ、約十八万人に影響が出ました。


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