2003年10月9日(木)「しんぶん赤旗」
消費税率の引き上げについて、小泉純一郎首相は「私の任期中には、引き上げない」と繰り返しのべています。これで安心していたら大変です。いくつかの視点でみてみましょう。(渡辺健記者)
小泉首相は、自民党の総裁任期が三年であることをさして、「その間に税率を上げる環境にない」(九月二十二日の記者会見)とのべています。
「(首相は)将来上げないとは言っていない」(塩川正十郎前財務相)。いまは「環境にない」といっているのがミソです。
同じ記者会見のなかで小泉首相は「まだまだ削るべき無駄な予算はあり、その改革が先だ」とのべたうえで、「『もうこれ以上、予算を削減するのはやめてくれ』というときに初めて財源がないから消費税率を上げるというなら分かる」とのべています。
来年度政府予算の概算要求基準をみても、公共事業の事業量は減らさず、軍事費は聖域扱いですから、ターゲットにされるのは社会保障費の抑制です。国民生活を痛めに痛めつけて、消費税増税やむなしの世論をつくろうという作戦です。
消費税率の二ケタへの引き上げを小泉首相に答申した政府税調の石弘光会長も「国民世論の形成には二、三年かかる。小泉純一郎首相は歳出カットなど引き上げの前提条件をこの三年間で満たしてもらいたい」(六月三十日、日本記者クラブでの講演)と首相に地ならし役を期待しています。
消費税増税の先導役は日本経団連など財界です。ことしはじめから、将来は16%だ、18%だ(日本経団連)、いや19%だ(経済同友会)と増税構想をぶち上げました。日本経団連は、法人税を減税し消費税を増税する政党には献金しますという政治買収の手まで打っています。
これに歩調をあわせて、政府側も政府税調などを舞台に消費税増税の準備を着々と進めています。
政府税調の石会長は十月六日の記者会見で、消費税引き上げヘ向け、「もうスキーム(枠組み)は出ている」とし、あとは「政治日程の問題だ」とのべています。
石会長は、同じ会見で小泉首相の自民党総裁の任期が切れる三年後の〇七年度に増税するとすれば、二年後の〇六年度には関連の法整備が必要になるとの日程まで描いてみせました。
首相が議長の経済財政諮問会議がまとめ、閣議決定した「骨太の方針」(第三弾、六月)も、〇六年度までに「必要な税制上の措置を判断する」と明記しています。石政府税調会長が描いた日程とも、日本経団連が遅くとも〇七年度までに10%(将来は18%)といっていることとも、ぴたりと一致します。
年金の財源として消費税増税を求める議論が、民主党も巻き込んで盛んになっています。この議論をあおっているのは、ほかならぬ小泉首相です。
経済財政諮問会議(二〇〇二年十二月五日)で、年金の財源をめぐり次のようなやりとりがあったことが議事録に残っています。
奥田碩トヨタ自動車会長(日本経団連会長) 誰も言わないから言うが、消費税が頭にあるのではないか。
木村義雄厚生労働副大臣(当時) 私の頭には全くない。
小泉首相 消費税が反対なら、年金の議論はできない。そういう議論も必要だ。
この議論の土俵に乗ったのが民主党です。同党はマニフェスト(政権公約)で年金財源に消費税をあてると提言し、消費税増税を公然と打ち出しました。財界も民主党の提言に「賛同する」(奥田日本経団連会長、十月六日の記者会見)、「年金改革については一歩前進」(北城経済同友会代表幹事、同七日の記者会見)と大歓迎です。
選挙中は「上げない」といって選挙が終わったら増税にひた走るというのは、自民党の常とう手段です。
一九八六年の衆参同時選。首相の中曽根氏は「大型間接税とかいうものはやらんのです。この中曽根がウソをいう顔をしていますか」(同年七月二日、鳥取市)とウソをつき、選挙で大勝するや、売上税の導入にひた走りました。八七年のいっせい地方選で自民党は敗北し、中曽根内閣は売上税導入を断念せざるをえませんでした。
消費税の増税を許すか、どうか。今回の総選挙は非常に大きな意味を持ちます。
一九七九年、大平内閣が一般消費税の導入をたくらみました。同年十月の総選挙で、自民党は敗北、日本共産党・革新共同は十九議席から四十一議席に躍進。大平内閣は一般消費税を断念しました。週刊誌は「共産党勝って『増税なし』サンキュー」(『週刊新潮』七九年十月十八日号)と書きました。
総選挙での日本共産党の躍進こそが、大増税を許さない確かな力となります。
「消費税率を遅くとも2007年度までには10%とすべきである」「2025年度までの消費税率の増加を18%程度までに抑えることが是非とも必要である」(日本経団連の提言、5月29日)
「消費税は極めて重要な税である。将来は、歳出全体の大胆な改革を踏まえつつ、国民の理解を得て、二桁の税率に引き上げる必要もあろう」(政府税調、6月17日、中期答申)
「国民世論の形成には2、3年かかる。小泉純一郎首相は歳出カットなど(消費税率)引き上げの前提条件をこの3年間で満たしてもらいたい」(石弘光政府税調会長、6月30日、日本記者クラブ)
「消費税率の引き上げのスキーム(枠組み)は出ている。いつ、どのような時期に取り上げるかという政治日程の問題」(石弘光政府税調会長、10月6日、記者会見)
「(自民党総裁の3年の任期の間に、消費税の)税率を上げる環境にない」「『もうこれ以上、予算を削減するのはやめてくれ』というときに初めて財源がないから消費税率を上げるというなら分かる」(小泉純一郎首相、9月22日の記者会見)
「日本も少子高齢化が進み、年金などでどう持続可能な基礎をつくっていくか、大きな課題がある。将来的に消費税の増税を求めざるをえないことは、日本国民の間では異論のないことではないか」(谷垣禎一財務相、ニューズウィーク日本版10月8日号)
「(年金財源としての消費税増税は)当然、有力な選択肢だ。それ以外の選択肢はなかなか思いつかないぐらいあることだと思う」(中川秀直自民党国対委員長、10月5日、民放テレビ番組)
「(基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引き上げに伴う財源は)税制改革する以外にない。税制全般の議論のなかで出してもらう」「増税をする以外にない」(坂口力厚生労働相、10月1日、衆院予算委員会)
「全体の社会保障を超高齢社会をどう乗り切っていくかという財源として、消費税は重要な税目だと考える」(北側一雄公明党政調会長、10月5日、NHKテレビ番組)
「(年金制度改革に伴う財源は)将来的には消費税を充てることになる」(菅直人民主党代表、10月2日、連合大会)
「基礎年金部分を全部税にし、財源は段階的に消費税を使って埋めるしかない」(枝野幸男民主党政調会長、10月1日、衆院予算委員会)