2003年10月8日(水)「しんぶん赤旗」
【パリ6日浅田信幸】ベルギー北東部のヘンク市にある米系の自動車企業、欧州フォードの工場で六日、三千人の雇用削減計画に反対する二十四時間ストが行われました。工場労働者の大半が居住する近接六都市の市長はこの日、労組とともに近々「連帯行進」を実行することを確認しました。米系企業の横暴に反対する「雇用を守れ」の大闘争が地域ぐるみで広がる気配です。
フォード社は十月一日、「欧州の自動車産業は危機にあり、過剰な生産能力に直面している」として、ヘンク工場の労働者八千二百人のうち三千人の解雇計画を発表。これに対し、工場では労働者が直ちに製品の搬出を拒否し、工場は事実上、生産の中断に追い込まれています。ベルギーのフェルホフスタット首相も「容認できない行為」だと同社を非難、経営陣を呼びつけて解雇問題で話し合いを持ちました。
フォード社は昨年、ヘンク工場に対し新車フォーカスの組み立てラインを含む九億ユーロ(約千百五十億円)の設備投資を発表しており、労働者や下請け企業関係者の間では「裏切り行為だ」と非難の声が上がっています。
企業のこうした解雇計画にもかかわらず、ベルギーでは強い解雇規制があり一方的な解雇はできません。このため経営陣は、「単純な解雇ではない。年金の繰り上げ支給か、交渉による円満退職をめざす」とし、再就職先のあっせんや職業訓練実施計画などを内容とする社会プランのための交渉を速やかに労組との間で開始したいとの意向を表明しました。
しかし一度に三千人もの解雇は「(ヘンクがある)リンブルフ県で知られている限りで最大の破局」です。労組側は、「すべての労働者が収入源を失うことのないよう、たたかいを続ける」との姿勢を強調しています。