2003年10月5日(日)「しんぶん赤旗」
米空軍横田基地(東京・福生市、あきる野市など)の日本人労働者が一昨年から一方的な労働時間や勤務体制の変更などを強要され、米軍当局や横田防衛施設事務所に善処を求めても相手にされない−−そんな労働者の訴えを聞いた日本共産党の井上美代参院議員、同衆院東京二十五区の鈴木たくや候補(党西多摩青梅地区青年学生部長)は、防衛施設庁に不正常な労働条件などを米軍当局に改善させるよう強く求めています。
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問題が表面化したのは同基地の車両運行課(労働者約四十人)。労働者らの訴えによると、二〇〇一年六月に監督者として赴任したラルフ・J・セレント最上級曹長が、合理的な理由を示さずに勤務時間や勤務体制を一方的に変更してきました。夜勤者(午後十一時半−翌午前八時半)に早朝五時ころになってから羽田までの運行業務を指示、故意に午前十時すぎまで超過勤務をさせたりしました。
9・11テロの際には、大統領命令で労働者に自宅待機が命じられたにもかかわらず、車両運行課の労働者には出勤させて基地で洗車をさせました。車両については、午前零時から早朝にかけてワックスがけを指示。ワックスがけした車両を今度は洗車させるなど、嫌がらせとしか考えられない業務もさせていました。
また、特殊自動車免許所持者には運転させず、同免許を所持していない労働者に免許を取らせようとするなど、思いつきの勤務変更を行ったりしています。
労働者が不合理な業務について改善を求めると、セレント最上級曹長や米兵が「命令に従わなければ制裁(三日間−七日間の出勤停止、三度目には解雇)だ」と脅し、勝手な業務命令が続いています。
このため、労働者は日本と米国間で取り交わしている「基本労務契約」(苦情処理手続条項)にもとづいて米軍当局に改善するよう文書で提出。防衛施設庁の出先機関である横田防衛施設事務所にも事情を申し立ててきました。
しかし、米軍当局(人事課)は「(労働者提出の文書は)苦情処理手続文書ではなく、提言だ」とし、防衛施設事務所も「米軍当局のいう通りだ」として、取り合おうとしていません。労働者の訴えで全駐留軍労働組合(全駐労)東京地区本部は基地ゲート前で抗議の座りこみを行ってきましたが、セレント最上級曹長はその後、さらに上級職に就いています。
こんな事態のなかで、労働者の有志が日本共産党の鈴木氏に相談。井上美代参院議員に連絡し、ともに防衛施設庁に要請しました。
「そういう話は聞いていない。問題があれば『苦情処理手続』にもとづいて申し立てをしてほしい」などと答えていましたが、井上議員が「労働者が施設局事務所にも訴えているのに知らないとはおかしい。今、私たちが説明したわけだから、現地事務所に連絡して米軍に労働条件等を元通りに戻させるべきだ」と要請。同庁は「そのような要請のあったことを現地事務所に伝える」と約束しました。
(注)日米地位協定にもとづく「基本労務契約」では、日本人労働者は日本政府が雇用し、米軍が使用主となっています。同契約は労働基準法等の尊重が基本にはなっていますが、米軍側の運用にまかされているのが実情です。 |