2003年10月4日(土)「しんぶん赤旗」
日本共産党の赤嶺政賢議員が三日の衆院本会議で、テロ特措法延長案に対しおこなった反対討論(全文)は次の通りです。
私は、日本共産党を代表して、テロ特措法の延長法案に反対の討論を行います。
テロ特措法は、9・11テロに対して、アメリカが開始した報復戦争を支援するため自衛隊を海外に出動させるものであり、国際紛争を解決する手段としての武力の威嚇、武力の行使を否定した日本国憲法九条を真っ向からふみにじるものであります。この明白な違憲立法を延長する本法案は、断じて許されません。
そもそも、戦争でテロをなくすことはできません。それどころか、軍事力による対応がテロの土壌を増幅し拡大しているのであります。
報復戦争から二年、アフガニスタンは、いま深刻な事態を迎えています。いまだビンラディンは拘束されておらず、アルカイダのネットワークもなくなっていません。それどころか、タリバンの再結集や新たなテロ組織の拡大さえ伝えられています。国連の支援組織や国際的な支援団体が撤退を余儀なくされる事態となっており、アナン国連事務総長は、安保理への報告で、治安状況の悪化に対し深刻な警鐘を鳴らしています。
まさに、アフガニスタンの現状は、テロと戦争の悪循環に陥っていると言わざるを得ません。今こそ、国連が主体となった司法と警察の国際協力という道に切り替えるべきことを、私は強く主張するものであります。
テロ特措法の下でインド洋に派遣された自衛隊が一体どのような行動を行ってきたのか、政府がいっさい明らかにしていないことは重大です。
派遣された自衛隊の補給艦が、イラク戦争に参加する米軍を支援していたという脱法行為が明らかになっています。イラク空爆を行った空母キティホークの艦長が、自衛艦から間接給油を受けていたことを言明し、さらに米海軍の機関誌は、本年三月、イラク戦争に参加した米補給艦が自衛艦から給油を受けた事実を記載しているのであります。
インド洋で米軍に対し、いつ、どのような支援を行ったのか、小泉首相が「行っていない」と答弁した捜索救助活動に関する記述が、なぜ海上自衛隊司令官の報告書の中に存在し黒く塗りつぶされているのか、政府はいっさい説明を行っていません。
テロ特措法の下での自衛隊の活動実態をあきらかにせず、脱法行為をあいまいにしたまま、法律を延長するなど、もってのほかであり、断じて許されません。
さらに重大なことは、小泉総理が、イラク戦争を支持した誤りを認めようとせず、イラクへの自衛隊派兵をおしすすめようとしていることです。
米英によるイラク戦争が、一片の道理もない国際法違反の戦争であったことは、いまや明白であります。戦争の「大義」とされた大量破壊兵器について、アメリカ政府でさえ、「見つからない」と言いだしているのであります。
にもかかわらず、アメリカから言われるがままに、自衛隊を出す、金も出すなどというのは、まさにアメリカ追随の極みと言わなければなりません。
いま日本がなすべきことは、米軍主導の占領体制への支援ではなく、国連中心の枠組みの下で、イラク国民の主権を回復し、イラクの復興支援に力を尽くすことであります。
最後に私は、テロ特措法、イラク派兵法は、きっぱり廃止し、憲法九条にもとづく平和外交に転換するため、全力で奮闘する決意を表明して、討論を終わります。