日本共産党

2003年9月27日(土)「しんぶん赤旗」

ヤミ金規制法成立

日本共産党の力 大きい


写真

質問する佐々木憲昭議員=2002年4月24日、衆院内閣委員会

 大阪・八尾市でヤミ金の取り立てを苦に夫婦ら三人が自殺した事件は、全国に衝撃を与えました。こうした悲劇を繰り返さないため、さきの国会では「ヤミ金規制法」が成立しました。ヤミ金への規制強化を一貫して要求してきた日本共産党の提案がみのったものです。(北村隆志記者)

警察に取り締まり強化求める

“ヤミ金の帝王”逮捕へ前進

 「昨年四万円借りたのが、いま五十万円になっているんです」

 日本共産党の国会秘書のもとに、長崎・諫早市の女性は泣きながら電話をしてきました。五月のことです。「自殺なんて考えたらいけませんよ」「そういうことも考えているんです」。秘書の言葉に女性はいっそう激しく泣き出しました。

 ヤミ金被害は二、三年前から目につき始め、昨年、急増。ヤミ金業者の多くが登録している東京都では、貸金業に関する苦情相談が昨年度は二万件を超え、一昨年の二倍、四年前の五倍に達しました。(グラフ)

図

 ヤミ金とは出資法の罰則付きの上限金利29・2%をはるかにこえてトーサン(十日で三割、年利1095%)やトーゴ(十日で五割、年利1825%)という違法な高金利をとる業者です。多くは暴力団が関係しています。「即日融資一─五十万円」などと、銀行やサラ金の多重債務者を狙ってダイレクトメールや電話で勧誘します。支払いに遅れると「殺すぞ」「娘を売れ」と過酷な取り立てで被害者を追い込んでゆきます。

 なぜ、違法なヤミ金がこれほど急増したのか。ヤミ金問題に詳しい弁護士や相談員は異口同音に「警察が取り締まらないからだ」といいます。警察に訴えても「民事不介入」を理由に、門前払いにされるケースがほとんどなのです。

 日本共産党国会議員団は、寄せられる陳情や生活相談によって、ヤミ金被害の問題をつかみ、国会で一貫して警察の取り締まり強化を求めてきました。

 二〇〇二年四月二十四日、衆院内閣委員会では佐々木憲昭議員の質問に対して、警察庁の担当者が「適切な措置を講ずるように第一線を指導する」と答弁し、ヤミ金取り締まり推進を指示した通達(〇一年七月六日付)の存在を明らかにしました。この答弁と通達は被害者を励まし、警察に取り締まりを求める際に活用されてきました。

 今年に入っても国会質問で他党をはるかに上回る時間を、ヤミ金問題に当て、繰り返し厳格な取り締まりを要求してきました。

写真

質問する大門実紀史議員=7月22日、参院財政金融委員会

 七月二十二日の参院財政金融委員会では大門実紀史議員が、「警察の対応が変わらないと、法律だけ通してもヤミ金が根本的になくなっていかない」として、新宿警察署がヤミ金による脅迫・詐欺の被害届を受けながら、棚上げにしている事例を取り上げて厳しく追及。警察庁幹部が対応を約束し、その後、問題の業者に対する捜査が始まり、被害者に喜ばれています。

 新しい規制法の成立を受けて、警察庁は八月四日に全国ヤミ金融事犯捜査担当者会議を開き、「専従取締体制の確立」「適切な被害者対策の推進」を各都道府県警に指示。八月十一日には「ヤミ金の帝王」と呼ばれた山口組系ヤミ金統括責任者を逮捕するなど、目に見える前進が起きています。

早くから国会で法規制求める

厳罰、高利支払い不要を実現

 日本共産党は、早くからヤミ金撲滅のための新たな法規制を求めてきました。

 「現行の登録制を免許制に改めて、許可なしに営業を認めないということ。それから、違法なヤミ金業者には厳罰を科するということ等、厳しい立法措置をとること」

 「もう一つは、出資法違反の(29・2%を超える)高利の貸金契約は全部無効とし、元本の返還請求権も存在しないこと」

写真

質問する吉井英勝議員=2月14日、衆院財務金融委員会

 吉井英勝議員が、二月十四日の衆院財務金融委員会で提起したことは、その後のヤミ金規制法づくりに反映されました。

 ヤミ金規制を求める世論と運動が広がる中、与野党の間でも規制法制定の機運が生まれ、折衝の結果、与野党一致の議員立法として法案が提案されました。

 法案づくりの折衝で佐々木憲昭議員は、29・2%を超える契約は元本返還の義務もないことを明確にすべきだと提案。しかし、自民党・民主党の反対で、109・5%を超える契約について利子を支払う必要はないという規定でまとまりました。関係者からも不十分ながら一歩前進と評価されています。

献金受けてきた自民、公明、民主

 その後、先日逮捕された「ヤミ金の帝王」から自民党の亀井静香議員に三十万円の献金があったことが判明。制限金利の引き上げを狙っているサラ金業界が自民、公明、民主、自由などの国会議員七十九人のパーティー券を購入したリストも本紙報道で明らかになりました。日本共産党以外の党が金利規制に消極的だった背景がうかがえます。

 吉井議員は「八尾の事件には弱い立場の人が犠牲になるという無念さと怒りを覚えました。八尾も私の小選挙区の東大阪も中小企業の町です。経済の実態が悪いから、困ったあげくサラ金から借り、さらにヤミ金に引きずり込まれるという話が多い。経済を落ち込ませている自民党政治をあらため、安心して暮らせる政治・社会をつくらないといけません」と思いを新たにしています。


ヤミ金規制法の主な内容

 ○貸金業の営業要件を厳格化。とくに暴力団関係者を排除。

 ○とりたて、広告の規制強化。とくに無登録業者にも対象を拡大し、罰則を強化。

 ○高金利の契約は無効。年109・5%を超える場合、利子はすべて無効で払う必要はない。

 ○出資法に違反する29・2%を超える金利で貸しつけた場合の罰則を「三年以下の懲役もしくは三百万円以下の罰金」から「五年以下の懲役もしくは一千万円以下の罰金」に。

 ○高金利の要求罪を新設し、29・2%を超える利息の支払いを要求する行為も前項と同じ罰則を適用。


20年間の追及 今後も頑張って

 全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会事務局長の本多良男さん

 今度のヤミ金規制法をまとめる上では本当に共産党が力になってくれました。異常な高金利の契約無効条項もまだ不十分とはいえ、共産党のがんばりであそこまで押し込んだと思います。

 自民党は「元本も返さなくていいとするとモラルハザード(倫理崩壊)を起こす」なんていいますが、高利で貸すヤミ金がなくなれば、モラルハザードなんて起きようがありません。亀井静香氏へヤミ金から献金があったように、自民党の幹部とヤミ金が結託していたんです。サラ金業界も自公民に金をばらまいて金利引き上げをもくろんでいます。これも許し難いことです。

 ヤミ金業者は広告を禁止されたので、最近は証拠の残るダイレクトメールをやめて、電話での勧誘を増やしています。共産党の追及はサラ金地獄が問題になった二十年前からですが、今後も頑張ってほしいと思います。


もどる
「戻る」ボタンが機能しない場合は、ブラウザの機能をご使用ください。

日本共産党ホームへ「しんぶん赤旗」へ


著作権 : 日本共産党中央委員会
151-8586 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-26-7 Mail:info@jcp.or.jp