日本共産党

2003年9月26日(金)「しんぶん赤旗」

共感広がる青年雇用署名

民青同盟・近藤奈津子副委員長にきく

サービス残業なくせはみんなの願い

“あきらめてたけど、希望がもてた”


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民青同盟副委員長・近藤奈津子さん

 「青年に仕事を」と訴える署名を日本民主青年同盟がよびかけ、活動を開始してから一カ月余がたちました。署名数は全国で一万七千人に迫り、署名への共感が広がっています。民青同盟の近藤奈津子副委員長にとりくみの状況を聞きました。

署名読むと目の色変わる

 ──大きな反響をよんでいますね。

 近藤 はい。署名を発表したとき、これまでにとりくんできた労働相談活動や働く青年サポート委員会の活動を通じて、青年に署名が待たれているという思いはありました。いざとりくみを始めてみると、反応の大きさにこちらがびっくりするくらいです。

 署名用紙には二つの調査が印刷されています。一つは、大企業が最近六年間に百八万人の青年正社員を減らしているグラフ。もう一つは、サービス残業(ただ働き)をなくせば百六十一万人の雇用が増えるという試算です。私も何回か街頭宣伝にたちましたが、青年たちがこの署名を読むと、目の色が変わっていきます。青年の雇用問題に解決の道があるんだ、と知るとストレートに署名に応じてくれるんです。

 そして「就職先が決まらない」という切実な声がすぐに返ってきます。多くの青年たちが「サービス残業」という言葉を知っていて、これをなくしてほしいと願っていることもわかりました。

 ──どんな声が寄せられているんですか。

 近藤 東京・日野市で民青同盟が宣伝していると、専門学校生が通りがかりました。「うちの学校は就職しやすいと聞いていたのに、まだ就職先が決まらない。周りの友だちも決まっていない。ちゃんと仕事に就けるのか心配」というんです。話をしていくうちに「サービス残業が違法だなんて知らなかった」といって署名し、民青同盟に加盟してくれました。

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青年の雇用問題を解決しようと署名をよびかける民青同盟の宣伝=18日、東京・渋谷駅前

受験生も就職に不安

 また、大学一年生が「姉は国立大を卒業したのに就職が決まらず大変そう。自分も卒業後が不安」と語っていたそうです。大学に入ったばかりの人まで就職に悩み、不安を抱えている。民青同盟が一月に行った受験生アンケートでも、多くの人が大学卒業後の就職に不安をもっているという結果が出ています。

 千葉県船橋市の宣伝では、十八歳のカップルがそろって民青同盟に加盟しました。女性は、スポーツジムでアルバイトをしています。「以前アルバイトしていたファミリーレストランでは、店長が勝手にタイムカードを改ざんしてひどかった」と話しました。男性は、前の職場のラーメン店で一日に五回くらい倉庫に呼び出されて殴られていたそうです。

 岩手県の県内キャラバン宣伝では、印刷会社のオペレーターをしている青年が「月に六十時間の残業をしている職場もあり、夜中まで働いています。ミスも起きていて、一人が二人分の仕事をしている」といっています。同盟員が「人を増やすことでミスがなくせる」と提案すると、署名に応じてくれました。

 大阪府堺市でも主要駅でキャラバン宣伝をすると、「サービス残業を月六十時間くらいさせられている」「就職難で企業を四十─五十社まわっても決まらない」などの声が寄せられ、署名をよびかけると「あきらめていたけど、希望がもてた」と協力してくれました。

 内閣府の「国民生活白書」(〇三年版)は青年の雇用問題について、フリーター自身が不利益を被る、日本経済の成長の制約要因になるおそれがある、社会を不安定化させる可能性がある、未婚化・晩婚化・少子化を深刻化させる、と指摘していましたが、青年との対話のなかでそれらの意味を実感しています。

 こんな状況をもとに、青年たちのなかで「どうにかしたい」という思いが強まってきています。それなのにその思いをいう場所がないんです。だから署名への反響が大きいのだと思います。

 ──とりくみ自体も広がっていますね。

 近藤 同盟員が自分のつながりや宣伝で出会った青年に署名をよびかけると、今度はその周りで署名が広がり始めています。島根県では同盟員の友人が「住民の役に立ちたいと思って公務員をめざしているが、競争率が高くて狭き門。ぜひ実現するように署名を集める」といって十人分をすぐに集めてくれました。

 ある県では、宣伝の前を偶然通りかかった市役所の同僚が「サービス残業をなくしてほしい。署名は自分の思いにぴったり」といって職場で五十人分を集めたそうです。

様々な地域で申し入れ

 さまざまな地域で自治体や高校、団体への申し入れが始まっています。

 鳥取県では、県労働雇用課、ハローワーク鳥取と懇談しました。ハローワーク側は「頭を抱えているのは、就職を希望する高校生の就職率の低下です。みなさん正社員を希望していますが、新卒採用が減り、派遣やパート・アルバイトの求人がほとんど。ヨーロッパのように政府が青年の雇用にしっかり責任をもつべきだという意見はもっともです」と語りました。

 島根県でも、県議会議長、県商工労働部長、ハローワーク松江、高校の校長と懇談しました。高校からは「専門性を生かせる求人がない。地元の銀行、電力会社の求人は皆無」「署名の内容にまったく同感だ。ぜひがんばってほしい」という声が返ってきました。県議会には民青同盟として請願を出しています。

 私たちの申し入れを受けて積極的に署名活動にとりくんでくれる団体も出ています。全教(全日本教職員組合)は「組織をあげてとりくみたい」と全県に署名用紙を送っています。愛知県や徳島県で、労働組合や平和団体の人たちと共同して署名活動をすすめようという動きもあります。

 この署名をひろげて、学園、地域、職場など青年たちが全国どこでも署名に出合えるようにしたい。当事者である青年自身が声をあげていくことが大事です。

 国民的運動をまき起こして、政府や大企業から成果をかちとるたたかいをしたい。十月には全国的な集会を計画しています。さまざまな団体によびかけて実行委員会をつくり、大きな世論をつくっていく力にしたいと考えています。


青年雇用署名

 青年雇用署名は、衆参両院議長に提出する請願署名です。次の四つの要求項目を掲げています。

 (1)大企業が青年の雇用をふやすよう指導するなど、政府は雇用を守り拡大する責任を果たす

 (2)新卒の未就職者に対する職業紹介、職業訓練など具体的に援助して、安心して仕事探しができるようにサポートする

 (3)フリーターや派遣、アルバイトなど不安定雇用の青年を正社員に採用するしくみをつくる

 (4)学業と両立できる学生の就職活動のルールをつくる

※署名用紙はこちらからダウンロードできます


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