2003年9月25日(木)「しんぶん赤旗」
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東京都議会は二十五日からの各党代表質問で、本格的な論戦がはじまります。議会直前に、石原慎太郎都知事がのべたテロ容認の暴言に、各党がどのような態度をとるかが、大きな焦点の一つになっています。
石原氏の暴言は、自民総裁選の応援で訪れた名古屋市内の街頭演説(十日)で、同日起きた外務省の田中均審議官にたいするテロ事件について、「爆弾が仕掛けられた。当ったり前だ」とのべたもの。明確なテロ容認の暴言として、大きな批判がまきおこりました。
石原氏はその後も、十一日の東京・池袋の街頭で、田中審議官や外務省を口汚くののしり、「そういう目に遭う、当然のいきさつがあった」としたうえ、「国民の怒りがああいうかたちになった」と発言。都庁内で十二日に行った会見でも、「言葉が足りなかった」などと言い訳しながらも、発言の撤回・謝罪は拒否したうえ、「(テロは)むべなるかな(=もっともであること)」との主張をくりかえしています。知事の一連の発言は明らかにテロを容認し、あおるものです。
民主主義のルールを踏みにじり、都知事として許されない石原氏の暴言に、都議会で、いちはやく批判の声をあげたのは日本共産党でした。
日本共産党都議団は、最初の発言があった十日、即座に吉田信夫幹事長のコメントを発表し、「テロ容認は許されない」と厳しく批判。翌十一日には、木村陽治団長、曽根はじめ政調委員長が、都議団として正式に、発言の撤回と謝罪を石原知事に申し入れました。
十一日午前の都議会議会運営委員会理事会では、日本共産党の吉田氏が、都議会として撤回と謝罪を知事に求めるよう各会派に提案。しかし、自民、公明、民主、ネットの各党は一言も発言せず、文字通り“沈黙”し、提案に応じませんでした。
自民、公明、民主の各党はいまだに、石原知事の暴言に対して、公式の見解を表明していません。知事の暴言の撤回・謝罪すら求められないようでは、都議会の姿勢が厳しく問われます。
自民党の古賀俊昭、田代博嗣、民主党の土屋敬之の三都議は十九日、都議会の会議室で、「石原知事発言を全面支持する都民集会」を開きました。土屋都議はこの場で、「石原発言が閣僚やマスコミから批判されているが、物事の本質をそらそうとする策動だ」とのべて知事発言支持を訴えたといいます。(『毎日』二十日付)
自民、公明、民主など都議会のオール与党勢力が、石原知事に迎合してきたのは今にはじまったことではありません。しかし、ことは「テロ容認」という民主主義の根幹を脅かすものです。それでも知事に追随し、問題を不問にするというのでは、まさに議会の自殺行為としかいいようがありません。
(東京総局 中村圭吾記者)
都議会は二十五日の本会議で各党代表質問を行い、日本共産党からは吉田信夫幹事長が質問にたちます。吉田氏は、知事のテロ容認発言、第二次財政再建推進プラン、切実な都民要望などについてとりあげます。質問時間は午後六時五十分ごろの予定です。