2003年9月21日(日)「しんぶん赤旗」
四十人以上の死傷者を出した「軽急便」(本社・名古屋市中区)名古屋支店での立てこもり・爆発炎上事件。容疑者の凶行はけっして許されるものではありませんが、「軽急便」商法を告発する声があがっています。(東海北陸信越総局・小川浩記者)
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名古屋市の男性(当時二十四歳)は二年半ほど前に「軽急便」の運転手の募集に応募しました。マンションの一室に連れて行かれ、同じ応募者数人と同席しました。「もうかるから」という言葉を信じて、会社側にいわれるままに契約書に署名・なつ印しました。
初めに五万円の保証金を支払いました。百五十万円前後の車の購入の際に、「手付金」として十数万円を払いました。
契約が終わって帰るとき、エレベーターで男性社員から「実は仕事がないんだ」という話を聞き、不安になり父親に相談しました。
父親が細かく契約内容をみると、二年間は基本的には解約できないようになっていました。中途解約する場合、違約金の支払いが明記されるなど契約者にきわめて不利な内容でした。弁護士に相談。三日後会社が解約に同意し、お金は返還されました。
父親は「いろいろ調べてみると、月三十万円から五十万円の収入があると宣伝しながら、実際はその保証はない。保証金をとり、トラックを売りつけたらあとは知らない、というあくどい商売だ」といいます。
ことし四月改訂された同社の「開業説明会資料」によると、同社は四支店・十八営業所で営業しています。同社と契約(入会)した「会員」は独立した運送業者となります。契約の際は「入会登録料」「開業指導料」各七万円の計十四万円を支払います。入会後は理由のいかんを問わず返還されません。契約期間は二年。車の購入代金は車種により、八十万円から百六十万円といいます。
名古屋市の男性の事例以外にも「たくさん『会員』を増やしても、『会員』に仕事はこない。事件の容疑者は悪いのは悪いが、会社もえげつない」という電話による訴えが赤旗編集局や日本共産党の事務所に寄せられています。
名古屋消費者センターにも「軽急便」にかかわる相談が昨年二件、一昨年二件ありました。