2003年9月20日(土)「しんぶん赤旗」
与党三党の国会議員三百人以上が加盟する「高速道路建設推進議員連盟」の会長をつとめる村岡兼造元官房長官・自民党衆院議員(衆院秋田三区)の親族企業が、日本道路公団から一九九七年以降、昨年までで計六件二十八億円の工事を受注していたことがわかりました。同議員はこの親族企業の約36%の株主で、公団にも影響力を持つだけに、同議員と親族企業・公団の関係は国民の疑念を招くものです。
この会社は、村岡建設工業(秋田県本荘市、資本金六千万円)。社長は村岡氏の実弟、村岡氏の夫人が取締役で、長男が監査役を務めています。同社が建設業法にもとづき秋田県に提出した資料によると、村岡氏自身この企業の36・2%の株を所有しています。同議員が国会に提出した「所得等報告書」には、内訳は明記されていませんが、毎年五百万円を超す「株式配当収入」が記載されています。
また、村岡氏の資金管理団体「兼山会」の政治資金収支報告書によると、同社は二〇〇一年に計三百万円分、〇二年に九十四万円分のパーティー券を購入しています。
一方、同社が秋田県に提出している工事経歴書によると、第四十七期(〇一年六月一日〜〇二年五月三十一日)の受注総額八十五億四千万円のうち、官公需は四分の三の六十四億円。そのうち、道路公団からは、一九九七年三月に日本海沿岸東北自動車道(日沿道)河辺東工事を受注したのを皮切りに、昨年十月、同親川工事を受注するまで計六件、総額二十八億円余の公団工事を受注しています。(表参照)
公団工事の入札状況調書によると、親川工事は予定価格七億二千六百七十八万円にたいし、村岡建設工業が七億一千万円で落札。落札率は、97・7%です。
日沿道は、昨年十月、秋田空港〜岩城インター間(十四・三キロ)が開通しましたが、全国有数の不採算区間となっています。
村岡議員は道路公団から料理屋で会食にしばしば招かれる関係でした。
公団が日本共産党の大森猛衆院議員に提出した資料によると、村岡氏は九九年六月に東京・六本木の茶寮で、公団副総裁(現藤井治芳総裁)、東北支社長らと「日沿道整備促進及び秋田道4車線化推進について」会食したのをはじめ、「高速道路網推進」の酒食会議に計七回出席(ほかに秘書のみが一回)しています。
公団が資料提出にあたって各国会議員に問い合わせた際、村岡議員側はこの会議の費用について「返済した」と回答したものの、公団によると実際に返済したのは二年半から四年も後の今年五月と七月。公団の問い合わせを受けてからでした。特殊法人である公団のおもな財源は、税金や道路ユーザーの利用料金で、いわば国民の払ったカネで、「高速道推進」を掲げて飲み食いしていたことになります。
村岡議員事務所は、本紙の取材にたいし「議員が地元を回っていて、回答できない」としています。
日本海東北自動車道河辺東工事 JV 97・3 49695 同新間工事 JV 98・7 26097 同君ケ野川橋(下部工)工事 元請 99・6 59528 三陸自動車道利府塩釜IC工事 JV 99・8 41490 秋田自動車道雄物川第二橋(下部工)工事 JV 00・7 35400 日本海東北自動車道親川工事 元請 02・10 74550 《注》工事経歴書などで作成。金額は消費税込み