2003年9月20日(土)「しんぶん赤旗」
厚生労働省は、十九日、石綿(アスベスト)による疾病の認定基準等の改正を都道府県労働局に徹底しました。
石綿は、防火・断熱材として現在も広範に使用されていますが、吸入することで肺がんなどの重篤な疾病を発症することが明らかとなっています。石綿使用禁止と健康被害への対策を求める要望をうけ、日本共産党の井上美代参院議員は今年三月、政府に質問主意書を提出していました。
今回の改正は、石綿との関連があるとされる疾病の範囲を広げ、より迅速・的確に労災認定が行われるよう求める内容となっています。また、石綿に含まれる有害物質の影響を受けるばく露作業についても、従来の指定を広げ、「間接的なばく露を受ける可能性のある作業」にまで広げています。
さらに、「中皮腫」の労災認定要件として、石綿ばく露作業への従事期間「五年以上」を「一年以上」に改正しました。
厚生労働省労働基準局労災補償部補償課の説明では、石綿による疾病の見落としがないよう、今後、各労働基準監督署だけでなく、全国の医療機関への周知徹底をはかるとのことです。
これらの点は、いずれも石綿による健康被害に苦しんできた関係者がつよく求め、また井上美代議員の質問主意書で指摘した内容です。
井上美代参議院議員のコメント 労災認定については一歩前進という思いです。一人親方の建築業者など、まだ救済措置から取り残されてしまう方々が大勢います。こうした方々を含めて、健康被害対策を政府の責任で行うよう引き続き求めていきます。