2003年9月19日(金)「しんぶん赤旗」
消費税に反対して十一年間、週一回の昼休み行進をつづけている人たちがいます。京都市右京区、西院(さいいん)小学校の学区(人口六千五百人)にある「消費税をなくす西院の会」です。「消費税を二ケタにするなんてとんでもない」。切実な思いを訴えます。(矢藤 実記者)
「消費税増税、やめさせようー」「生活費に税金をかけるなー」。会の人たちの声が響きます。十一日、午後零時二十分から二十分間の昼休み行進。春日診療所前から出発です。主婦、看護師、自営業者など集まったのは八人。横断幕やのぼりをたてハンドマイクにあわせて唱和します。
小学校の前を通りかかると、白い給食服を着た小学生が手を振ります。商店街にさしかかると、買い物客が足をとめ行進を見つめます。バス停でお年寄りが手を振り、声援をおくります。「年金改悪は許さなーい」と、暮らしの問題も訴えます。しきりに扇子をふる五十歳代の男性が、「僕も参加するよ」。自転車でかけつける女性がいます。十分間だけ行進に参加する人がいます。行進は二十二人に増えました。
西院の消費税をなくす会が、行進を始めたのは一九九二年一月。参院選で「消費税を争点にしよう」と話し合ったのがきっかけ。以来、毎週木曜日、正月、お盆、雨の日以外は、暑い日も寒い日も、ずっと歩き続けてきました。たった三人の時もありました。
「気楽な気持ちで始めたんです。消費税はなくならへんし、5%にされてしもた。いつも、増税いわはる。消費税をなくすため行進はやめられません。気づいたら十一年続いてました」と山田耕司事務局長。
右京区は友禅染の職人の多い町でしたが生産の海外移転と不況が町を様変わりさせました。商店街は大きな打撃を受け、友禅の関連業者も減っています。
行進に参加者した大矢恵三さん(61)は、着物の組みひもや帯締めの機械を製造、販売しています。毎月二、三台が売れていたものが、今は年に一台だといいます。「修理ばっかりですわ。消費税の増税は、庶民の財布のひもを固うするばっかり」と話します。
いっしょに歩いた主婦の中筋みよ子さん(58)は、八十八歳の母親と暮らしています。「年金は減らされ、介護保険や医療費はあげられっぱなし。これ以上、消費税をあげんといてとアピールし続けることが大事やと思います」
地域の人たちも昼休み行進を歓迎します。「5%でも大きいのに、10%になったら、そりゃあ困る」と話すのは、市場で魚店を経営する井上昭明さん(67)。「なじみのお客さんで、やっと商売なりたってるのに、増税されたら、たまりませんわ」
山田事務局長は、「やむにやまれず生活保護の申請にいく人が増えていますが、窓口で追い返されてます。収入がなく日々の生活に困る人からも、消費税は取られます。政府や財界は弱い人をいじめる不公平な税金を福祉のための財源といわはる。ほんまに腹立ちますわ」と話します。
◇
内貴一雄さん(61)は、西院町内に住んでいます。夫婦で京友禅の糊ふせなどの仕事をしていましたが、五年前、病気で妻を失い、以来、八十三歳の母親を介護しています。国民年金が支給年齢に達していないので自分の収入はありません。母親の遺族年金と厚生年金で生活しています。ショートサービス、デイサービスなどの介護を含めた二人の生活費は年間約三百万円。一年間にかかる消費税は約十五万円にもなります。「困ったもんやなー。10%にされたら、三十万円。むちゃくちゃ生活に響きます。福祉のためなどといって消費税を導入したけれど、一番切り捨てられたのが福祉だった」
二カ月間で四千四百円だった介護保険料が十月からは七千三百九十円になります。ところが、今年から厚生年金の受取額は、年間で大きく減りました。「必要もないのに、京都市内に高速道路をつくるようなムダな事業に税金を使って、庶民泣かせの消費税を上げるなんて、えらいこっちゃなー」と話します。
消費税をなくす全国の会は二十三日、第十四回総会を開きます。総選挙で消費税増税ノーを大きな争点に掲げ、いのち、暮らしをまもる国民的な大運動を広げようと呼びかけています。
消費税をなくす全国の会は、一九九〇年六月に結成。消費税の廃止を求める個人加盟の団体で、約百三十一万人の会員がいます。