日本共産党

2003年9月12日(金)「しんぶん赤旗」

日本共産党の政治資金の特徴

上田均財務・業務局長に聞く

国民と草の根で結びつき活動


 十二日付官報で公表された二〇〇二年政治資金収支報告書について、日本共産党の政治資金の特徴を、上田均財務・業務局長に聞きました。


日本共産党の2002年政治資金収支報告概要
項  目金額(万円)前年比
(%)
構成比
(%)
(1)収入
党費
寄付
機関紙誌・書籍等
納付金・借入金、その他
 
12億6647
11億3854
282億1871
28億0516
 
100.3
78.6
96.7
117.0
 
3.8
3.4
84.4
8.4
 収入合計334億288897.5100.0
(2)支出
経常経費
機関紙誌・書籍等
交付金・その他
 
83億0668
197億7577
67億7518
 
149.3
96.7
75.9
 
23.8
56.7
19.4
支出合計348億576399.7100.0
収支差引 (1)−(2)-14億2875  
前年からの繰越金
翌年への繰越金
67億5695
53億2820
  
(1万円未満四捨五入)
 
日本共産党の資産報告の内訳
項  目金額(万円)
土地22億4109
建物67億5738
地上権または借地権3324
取得価格が100万円超の動産5億4395
預・貯金残高15億2382
有価証券8億0640
残高100万円超の貸付金18億2710
100万円超の敷金9億1738
100万円超の施設利用権1800
残高100万円超の借入金9億7955

 ―二〇〇二年の各政党の政治資金収支報告書が公表されました。昨年の日本共産党の政治資金の特徴はなんでしょうか。

 上田 日本共産党中央委員会の二〇〇二年の政治資金の収支は、総収入額三百三十四億二千八百八十八万円(前年比97・5%)、支出総額三百四十八億五千七百六十三万円(前年比99・7%)です。

 大きな特徴点は、収入・支出ともに一昨年につぐ三百四十億円前後になっていることです。約三百億円であった一九九九年と比べると、収入が111%、支出が116%で、二〇〇〇年以降の三年間はほぼ同程度の収支増の傾向になっています。この主な理由は、「しんぶん赤旗」のカラー化と料金改定とともに、党本部ビル建設への寄付・協力借入金の収入増とその支出が反映しているものです。支出が収入を上回っていますが、繰越金(準備金)によって補われて、全体として党中央財政の健全性をあらわしています。

 日本共産党の財政の根本的な特徴は、党が企業・団体献金も政党助成金も受け取らず、党財政の基盤が党費、機関紙誌などの事業収入、個人からの寄付など、党員と支持者、国民から寄せられる浄財のみで成り立っていることにあります。

 また、機関紙誌などの党活動を基本とした事業活動が収入の84・4%、支出の56・7%と大部分を占めていることは、「しんぶん赤旗」を中心に国民と草の根で結びついて活動するという特徴をしめすものであり、他の政党にないわが党の特質をしめしています。

 わが党は、今後ともいっかんして党員と国民に支えられた財政活動をつらぬき、党自身の力を強く大きくすることをとおして財政基盤を確立・強化していくものです。

政党助成金

広がる廃止世論運動の先頭に

 ―政党助成金については、いくつかの地方議会で廃止を求める意見書が採択されるなど、新しい動きが広がってきていますね。

 上田 そうですね。昨年十二月に奈良県・上牧町議会で政党助成金廃止を求める意見書が採択されたのを皮きりに、今年三月には北海道・小清水町議会で、六月には宮城県・鶯沢町議会、岩手県・田野畑村議会で、相次いで同様の意見書が採択されました。また、東京・新宿区町会連合会は、政党助成金廃止陳情署名運動をくり広げています。

 これらは、文字どおり支持党派をこえた世論と運動の広がりとなっています。上牧町議会の意見書は、「国会議員歳費一割削減」や「永年勤続議員の特別交通費廃止」なども「極めて大事なこと」としつつも、年間三百億円をこえる政党助成金と比べれば、「それらはあまりにも小額であり『お茶を濁した程度』の批判は免れない」としていますが、まったくそのとおりです。

 考えてみてください。いま政府・与党が国民に耐え難い「痛み」を押しつける一方で、政党にだけは毎年三百十七億円(〇二年)が「自動的」に流れ込んでいく制度ですから、「なぜ政党と銀行だけが助成されるのか」という世論の怒りが高まるのは当然のことです。

 ―日本共産党の政党助成金に対する態度とあわせて、これからの廃止にむけたたたかいについて話してください。

 上田 わが党は、政党助成金制度は、政党が「骨折り」せずして国民の税金を分け取りする制度であり、国民の政党支持の自由をも侵す憲法違反の内容をもったものとして反対、廃止を主張し、受け取りを拒否しています。

 そもそも、この制度を導入するさいの「大義名分」は、当時リクルート事件などで大きな問題となっていた政党・政治家への企業・団体献金をなくす代わりに、「公的助成」によって「民主政治の健全な発展に寄与する」(政党助成法第一条 目的)というものでした。

 しかし、制度が導入されて九年たちましたが、いまだに企業・団体献金は続けられ、そのもとで腐敗・汚職事件はあとを断たず、まさに税金と企業・団体献金の「二重取り」といってもいい状況です。

 いま上牧町議会などがとりあげたように、「政党助成金を廃止せよ」の声を、地方議会からも、各層各分野の国民運動や地域住民運動のなかからも、全国津々浦々からまきおこし、国民的規模の世論と運動で、政党助成金制度にしがみついている勢力を包囲していくことが大事です。日本共産党は、いっかんして廃止を主張しつづけてきた党として、その先頭にたって力をつくすものです。

党本部ビル建設

ほぼ予算どおり引続きご協力を

 ―今回の政治資金収支報告には、党本部ビル建設資金運用が反映しているとのことですが、もう少し説明してください。

 上田 本部ビル建設は、総額八十五億円、そのうち約半分を一期棟建設にあてることにしてきましたが、ほぼ予算どおり執行されています。

 今回の収支報告の収入面では、「寄付」が十一億四千万円でした。このなかには、全国の党員・支持者のみなさんから寄せられた建設募金が含まれています。また「借入金」は約六億円でしたが、これは、「建設協力借入金」として寄せられたものです。

 昨年は多くのみなさんのご協力に支えられて、一期棟完成に先立って第一次建設募金(目標二十五億円)を達成することができ、つづいてとりくんだ第二次建設募金も順調にすすんでいます。目標十五億円の第二次建設募金は、今年八月末現在六億七千万円まで到達でき、目標達成まで八億三千万円となりました。

 全国のみなさんのご協力にあらためて感謝いたします。

 収支報告の支出面では、「経常経費」が八十三億円で前年の149%となっています。これは、一期棟完成にともなう支出により、建設費を含む「事務所費」が前年より二十数億円増加したためです。「経常経費」のなかの他の科目、例えば人件費、光熱水費などは前年の九割台に減少しています。

 党中央委員会は、新しい本部ビルに移ったのちも、そのランニングコストを最小限に抑えるよう努力しており、現在の光熱水費が旧本部時代の八割台に抑えられていることにも、そのことが反映しています。


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