2003年9月10日(水)「しんぶん赤旗」
日本民主青年同盟がよびかけている「青年に雇用を」の署名が全国でとりくまれています。対話のなかで「やっと正社員になれたんだから、サービス残業(ただ働き)くらい我慢した方がいいのでは」という声がだされていますが…。
残業をしてもその分の賃金が支払われないものを「サービス残業」といいます。働いたらその分の賃金を支払うのは、社会の初歩的ルールです。それをしないのは、れっきとした企業犯罪です。
労働基準法三七条は、使用者が時間外や休日、深夜に労働者を働かせた場合、割増賃金を支払わなければならないとしています。割り増しにするのは、一日八時間を超えて労働者を働かせる企業にたいするペナルティー(罰)という意味があります。これに違反すると、六カ月以下の懲役か三十万円以下の罰金が科せられます。
サービス残業の実態を示して労働基準監督署に告発すれば、監督署は是正措置をとらなければなりません。そんな企業犯罪を我慢して受け入れることはまったくありません。働いた分の賃金をよこせ、というのは労働者の当然の権利です。遅くまで働かせて割増賃金を払わないというのは、企業のモラルが問われます。
日本共産党は一九七六年以来、ずっとサービス残業を告発しつづけてきました。最近でも自動車メーカーのスズキが昨年十一月からことし一月までの三カ月分の未払い残業代約七千万円を労働者に支払いました。サラ金最大手の「武富士」も過去二年間分、約三十五億円を支払いました。
サービス残業にたいする国民的な批判がたかまるなか、厚生労働省も通達や指針を出してサービス残業の摘発にのりだしました。道理ある主張が社会を動かしています。残業代をきちんと支払わせながら、正社員の長時間労働そのものをなくしていけば、就職できない多くの人たちが就職できるようになります。
第一生命経済研究所の試算によると、サービス残業をなくせば百六十万人の雇用をつくりだすことができます。また、失業者減・所得増・余暇時間拡大で個人消費が増え、実質国内総生産を2・5%押し上げます。サービス残業の根絶は雇用にも景気にもいい影響を与えるのです。