2003年9月9日(火)「しんぶん赤旗」
三重県多度町のごみ固形化燃料(RDF)焼却・発電の爆発事故をめぐって、RDF製造施設や同発電所で、ダイオキシン類から作業者を守る労働安全衛生法の労働安全衛生規則で定められた対策をとっていないことが、八日までにわかりました。
RDFの製造・燃焼の際、現場で作業にあたる労働者の健康管理もおざなりのまま。厚生労働省安全衛生部化学物質調査課は、「どこまで法的強制力を持っているのかはむずかしいが、RDFの製造、発電施設でも一般的には作業者のダイオキシン対策をとることが望ましい」としています。
二〇〇一年の労働安全衛生規則改正でダイオキシン類ばく露の対策が盛り込まれ、ばいじん、焼却灰、その他燃え殻をとりあつかう作業、設備の保守点検などの作業、設備の解体などの作業では、健康を守る措置が事業者に義務付けられました。大阪府能勢町のごみ焼却場のダイオキシン汚染がきっかけでした。
同規則では(1)ダイオキシン類の有害性など四時間の特別教育(2)作業開始前などのダイオキシン類の濃度、含有率の測定(3)保護具の使用(4)作業指揮者の選任と作業の点検など―七項目の対策が義務付けられ、「ダイオキシン類ばく露防止対策要綱」も定められました。
ところが、同省安全衛生部によると「規則の対象は、火床面積〇・五平方メートル以上または焼却能力が一時間当たり五十キログラム以上の焼却炉。RDF製造施設は焼却炉でもなく、RDF発電所はごみの焼却にあたらない」と釈明。環境省は昨年十二月から既存のRDF施設にもダイオキシン規制の網をようやくかけましたが、厚労省はいまだに全国各地のRDF関連施設での作業実態などをつかんでいません。
多度町や広島県福山市などでのRDF発電所の爆発・火災事故でも「労働災害ということで労基署が調査に入っているが、作業者のダイオキシン類ばく露対策を調査はしていない」(化学物質調査課)といいます。
多度町で爆発事故をおこしたRDF施設の現場では、低温でくすぶるRDFの後始末を、マスクもしないまま労働者が作業を急がされていました。現場を調査した日本共産党の国会議員調査団が三日、早急に作業条件を改善するよう要請しました。大阪・能勢町のごみ焼却場の土壌汚染問題では、食前食後のダイオキシン血中濃度をチェックする態勢が取られました。ところが、多度町の事故処理では、ダイオキシン汚染にたいする健康管理体制もなく、汚染に無防備なまま。健康を守る対策は大きく立ち遅れています。