2003年9月5日(金)「しんぶん赤旗」
三、四日に静岡県熱海市で開かれた「リストラ反対、雇用と地域経済を守る全国交流集会」。全都道府県からの四百六十人の参加者が、大企業のリストラと小泉「構造改革」による雇用と地域経済の破壊攻撃に対し、より大きな共同を草の根から広げていく決意をかわしあいました。(原田 浩一朗記者)
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「これほど各地で運動が広がっているとは思いませんでした。元気が出ました」というのは、大日本製薬に勤める中島恭三さん(58)。大阪工場を三重県の鈴鹿工場に統合する会社の経営計画が今年四月、実施され、かつて四百人以上いた労働者が約百人まで激減。一時は門前宣伝も力が入らなかったといいます。
「私たちは『夫が大阪で働いているので単身赴任はできない』『家を買ったばかり』という仲間の切実な声をビラにして会社に要求し、月二回の帰省や子育て中や要介護の労働者は配転しないと確約させました。仲間が減ってさびしい思いもしましたが、交流集会を力に、労働者との対話を新たな気持ちで始めます」
重大な死亡災害が続発している鉄鋼の職場から発言した新日鉄八幡の戸田実紀委員長。発言を終えて自席に戻ると、高教組の役員が寄ってきて、「あなたの話を聞いて、『リストラは当たり前』とか、『企業の再構築で悪いことではない』といっていたうちの生徒たちに、働く誇りや人間の命まで奪うことが果たしていいことかと説得するヒントをえました」といって、握手を求めました。
職場の労働者と家族、地域の労働組合や弁護士の力で、遠隔地への転籍をやめさせたボッシュのリストラ反対のたたかいは、参加者に深い感動をよびました。
自由法曹団の松本恵美子弁護士は「ボッシュリストラも学習会を重ねて学び合うなかで、たたかいが前進したと聞いています。私たち若手弁護士も『若くて頼りにならない』なんていわないで、どんどん学習会によんでください」と発言し、会場から「いいぞ」と拍手と声援が飛びました。
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アパレル産業の集まる岐阜市で開いた日本共産党主催のアパレル・シンポジウムについて分散会で報告したのは、日本共産党岐阜県委員会の木下律子さん。「県商工局長もパネリストを引き受けてくれ、参加者も『中国に負けておれるか』と決意がみなぎりました。アパレル問屋街を一軒一軒訪問してアンケートを集め、アパレル・繊維産業の振興のための政策提案にまとめました」と語りました。発言を終えると拍手喝さい。休憩時間には、何人もの参加者が名刺を差し出し、詳しい説明を求めていました。
「人口規模でみると、阪神優勝の経済効果と遜色(そんしょく)ない」といって会場をわかせた日本共産党の湯原季一郎兵庫県明石市議。建設関係の労働組合から要請を受けた住宅リフォーム制度について、調査活動を丹念に行い、市民が市内の業者を使ってリフォームするさいに助成するという制度を実現した経験を披露しました。
「三年間に八百人が利用して六千五百万円の助成が実現。その経済波及効果は十億円になる」「阪神は十八年ぶりだけど、明石は毎年効果があります」。ユーモアたっぷりの発言に大笑いする参加者もいました。