2003年8月29日(金)「しんぶん赤旗」
公明党は「政治腐敗の改革をリード」(運動方針)などと、「清潔の党」を看板にかかげています。しかし、野党提出の公共事業受注企業からの献金禁止法案は、自民党といっしょになって棚上げするなど、政治腐敗に根本からメスを入れる姿勢はありません。それどころか、自民党といっしょに改悪案まで出す始末です。
神崎武法代表は、通常国会開会前、「公共工事受注業者からの寄付については、選挙に関するものだけでなく、抜本的に制限する法改正を検討すべき時期にきている」との談話を発表(公明新聞一月十七日付)。その後、献金額の制限、献金の受け皿となる政党支部数の制限などを打ち出しました。
一方自民党は、献金制限どころか年間五万円超の献金者名は公開するとしている現行の政治資金規正法を改悪し、年間二十四万円まで献金者名を非公開とする改悪案を提案。公明党は当初、公開基準改悪を「時代に逆行する」(公明新聞四月五日付)と反対しました。
ところが、いざ自民党との協議がはじまると、この改悪案をころっと容認。月二万円までの会費方式で、銀行振り込みの場合に限定されているとして、「透明性が担保され、罰則ともからみ、検証可能な措置が講じられている」(神崎代表、公明新聞六月十二日付)と苦しい弁明をしました。
年間二十四万円まで献金者名を非公開にすると、国会議員の政党支部に対する企業団体献金の公開件数が、二〇〇一年分で八割も減少することが、共同通信社の集計で明らかとなっています(「東京」七月十七日付)。
公明党が「大きな前進」と自賛している、同一企業から同一政党支部への年間百五十万円までの献金制限も、受け皿となる政党支部を多数つくれば同じことです。同一企業から百五十万円以上の献金を受け取る支部は自民党でもわずか。なによりも、この自公案は、神崎代表自身がのべていた公共事業受注企業からの抜本的な献金制限はまったく欠落しており、「政治腐敗の改革をリード」などととてもいえたものではありません。
公明党自身、政権入りで受け取る企業団体献金が増加している事実があります。
二〇〇〇年秋に大問題になったKSD汚職事件では公明党機関紙の公明新聞に計十八回の広告を載せ(九九年三月―二〇〇〇年九月)、広告料として資金が流れました。
二〇〇二年三月には、「北方四島支援事業」を食い物にした鈴木宗男衆院議員が政界に配ったムネオマネーに、公明党議員も汚染されていたことが明らかになりました。
そのうえ、かつては禁止を主張したはずの企業団体献金も受領しています。二〇〇〇年には前年に比べ、党本部で四・二五倍、政党支部(中央選管届け出分)で四・六倍に急増。二〇〇一年は、企業団体献金の受け取りを政党支部に移し、全体の資金の出入りが不明となっています。
公共事業受注企業からの献金では、関空二期工事受注業者から同党衆院議員二人が受け取っています。公明党は「古くから付き合いのある企業からの政治献金」(公明新聞二月一日)と弁明まで自民党と何らかわりない開き直りぶりです。
自らも企業献金を受け取り、自民党といっしょになって制度改悪に奔走する姿は「清潔の党」の看板とは両立しません。 (このシリーズおわり)