2003年8月29日(金)「しんぶん赤旗」
【ロンドン28日西尾正哉】ブレア英首相は二十八日、英国防省の科学者、デービッド・ケリー博士の自殺の状況を調べる独立司法委員会(ハットン委員長)の審理に証人として出席し、イラクの脅威を強調した政府の立場は間違っていなかったと居直る姿勢を示しました。
同首相は、昨年九月の政府報告に盛り込まれた“イラクは大量破壊兵器を四十五分で配備可能”との記述について、「(これを裏付ける)機密情報を疑う理由はまったくない」とのべ、“報告書の内容を改ざんしてイラクの大量破壊兵器の脅威を誇張した”とのBBC報道が真実なら「辞任するのが当然だっただろう」とのべました。
同首相は、政府の報告の前文は自身が執筆したと認めながら、「機密情報に裏付けられたもの」とし、「戦争を強行する理由としては使用されなかった」と弁解。また、情報機関の中にイラクの脅威を不満に感じる人物がいたことは知らないなどとのべました。
一方で、BBCの報道の取材源としてケリー博士を公に指名する結果になったメディア戦略について自分に責任があるとの見方を示しました。
審理が開かれた王立裁判所前には平和団体の人たちが詰めかけ、「ブレアはウソつき」などと書かれたプラカードをもって抗議しました。独立司法委員会の審理に証人として首相が出席するのはきわめてまれです。