2003年8月25日(月)「しんぶん赤旗」
日本科学者会議原子力問題研究委員会主催の第二十六回原子力発電問題全国シンポジウムが二十四日、東京都内で開かれました。
原子力の専門家や各地で住民運動に携わっている人ら四十人あまりが参加。東京電力の不正事件などをめぐって意見を交わしました。中島篤之助・元中央大学教授は、今回の事件は「国策民営」の名のもとにプルサーマルや使用済み核燃料の再処理を民間にまかせ、国の責任を回避してきた原子力開発の誤りを示すものだと強調。
原子力に対する国民の信頼を取り戻すために、規制と推進の分離を明確にする必要があるとのべました。
また、シュラウド(炉心隔壁)などに相次いだひび割れの原因とされる「応力腐食割れ」を例に、日本の原子力研究の問題点を指摘し、開発体制の抜本的見直しを求めました。
日本原子力研究所の研究者は、原子炉の部品に使われているステンレスに応力腐食割れが起こることは三十年以上前に日本で発見されていたのに、その後、応力腐食割れが「起きない」とされる材料が導入されると研究さえおこなわれなくなっていた実態を報告しました。
舘野淳・中央大学教授は、工学系大学の学生に対するアンケートの結果を紹介。東電の不正事件に関心をもつ学生七十人のうち四十七人が、すべての情報の公開や、一般市民に理解・信頼を得る努力が必要と考えていることを報告しました。