日本共産党

2003年8月23日(土)「しんぶん赤旗」

ダイオキシン懸念

住民に不安 県が汚染調査

三重ごみ発電事故


写真
昼になっても煙が止まらない貯槽タンク=22日、三重県多度町

 爆発が相次ぎ七人の死傷者を出した三重県多度町の県営ごみ固形化燃料(RDF)焼却・発電施設の事故で、三重県は二十二日、ダイオキシン類による周辺地域の環境汚染を懸念し、周辺二・四キロメートル範囲の六地点で大気の汚染調査を始めました。

 汚染調査は、同施設のある多度町の二地点と、隣接する桑名市大山田西小学校、東員町の第二中学校など一キロメートル前後離れた住宅が集中する地域。

 施設周辺で暮らす夫と二人暮らしの女性(63)は、「事業所は事業を頼まれたのだから、『(消火方法を)知らない』とは許せない」と憤り、「ダイオキシン(の発生)が出たり、これ以上大きくならなきゃいいが」と不安を隠しません。

 県は地元の消防による対応では限界があるとして、総務省消防庁に緊急消防援助隊の応援を要請。これを受けて名古屋市消防局や三重県四日市市消防本部からハシゴ車や消防ヘリが出動しました。

 貯蔵槽ではRDF約四百トンが燃えていますが、爆発や貯蔵槽の倒壊、飛び火の恐れはいまはほとんどないといいます。


安全や環境を県は無視した

党桑名市議団が批判

 日本共産党桑名市議団は二十二日、三重県多度町の県営ごみ固形燃料(RDF)焼却・発電施設の貯蔵槽爆発事故で声明を発表しました。

 声明は、市議団が建設計画の段階から御殿場市のRDF施設などを見学し検討した結果、安全性、環境面、コスト面など、あらゆる点で問題が多いことから、一貫して反対の立場をとってきたことを紹介。

 本格稼働後、最初の事故発生の時点で徹底した原因究明と安全確保を申し入れてきたにもかかわらず、回答がないままであり、RDFに関する専門家がいないなかで、県、委託事業者が責任をなすり合ってきたことが対策の遅れや事故再発など、最悪の事態を誘発したと批判しています。



ごみが原料のRDF発電
技術的には手探りの状態

 ごみを原料にした固形燃料(RDF)を燃やして発電するRDF施設。RDFは消防法上の指定可燃物でないため消火設備の設置基準などの安全施設や規制もつくられないままです。

 三重県多度町のRDF施設の貯蔵槽は稼働当初、消火設備がなく、槽内の温度や一酸化炭素濃度を測る機器も設置していませんでした。

 RDFは、生ごみやプラスチックなどを粉砕して乾燥させ、石灰を混ぜて固めたクレヨン大の燃料。消防関係者は、RDFは「技術的に不安定で、手探り状態にある」と指摘。「どんなごみが混ざっていて、どう保存するのがいいのか、貯蔵中のRDFが発酵したときにどんなガスが発生するのか分からない」と困惑を隠しません。



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