2003年8月19日(火)「しんぶん赤旗」
北朝鮮問題を利用して日本共産党を中傷攻撃した謀略本の出版社が、ことし二月末に登記上の本店所在地から姿を消し、五カ月半たった今も新所在地を登記していないことがわかりました。本店所在地を変えた場合、二週間以内に変更登記しなければ商法違反。会社社長は創価学会員で、謀略本出版にも創価学会が関与していたことが本紙の取材で明るみに出ましたが、今なお所在地さえ隠し続けています。
この会社は未来書房(海野安雄代表取締役)。会社登記によると、本店は東京都立川市幸町の公団賃貸住宅の一室にあり、海野社長の住所も同じ場所に登記されています。
しかし、本紙が同社の出版した『北朝鮮問題と日本共産党の罪』について取材をしたことし二月末、海野社長は逃げるように引っ越しました。
いま、かつての本店所在地の一室を訪ねると、「海野氏も未来書房もまったく知らない。郵便物も取り次いでいない」と答える人物が住んでおり、表札その他もすべて変更されました。
会社が本店を移転したときは、商法六六条で二週間以内に移転登記をする必要があります。これを怠ると、取締役などが百万円以下の過料に処せられます(商法四九八条)。
未来書房は登記上の本店所在地から消えてすでに五カ月半。しかし、旧所在地を管轄する東京法務局立川出張所では十七日までに、何の変更登記もおこなわれていません。
日本共産党は未来書房の謀略本にたいし、さる三月、名誉棄損と著作権法違反で提訴。現在、東京地裁で審理されています。この場でも未来書房側は新しい住所は示していません。
さる六月二十四日の裁判で、未来書房側は、謀略本の著者「稲山三夫」は本名「柳原滋雄」と明らかにしましたが、その住所も未来書房の本店所在地と同じと回答しました。
結局、未来書房、海野氏、柳原氏の三者とも、まったく別人が居住する住所を使い、真の住所は隠したまま裁判を続けているわけで、まさに謀略的な手法をとっています。