2003年8月17日(日)「しんぶん赤旗」
パーティー券購入などの政界工作をしていたサラ金業界などの政治団体「全国貸金業政治連盟」(全政連)−−。さまざまな資料で浮かび上がってきた全政連の周到な高金利維持作戦をみると…。
資金源 | 武富士一族、大手幹部こぞって |
サラ金などの貸金業界が、政界工作のための団体、全政連を設立したのは二〇〇〇年十一月。大手サラ金幹部が資金提供しました。
政治資金収支報告書によると、設立の年に全政連が得た収入は約五百五十万円。そのうち、七割以上の四百万円は、サラ金大手、武富士の武井保雄会長と長男(元同社専務)、二男(同社専務)の寄付。翌〇一年には、サラ金大手のアコム、プロミス、アイフルの経営トップも約百−百五十万円を寄付しています。
東京都貸金業協会(都金協)機関誌によると、二〇〇一年二月、都金協会長などを務めた武富士の坂本堯則取締役(当時)が全政連への協力を呼びかけ、「私たちの業界でこれから一番重要な問題は二年半後に見直しがある金利」と訴えていました。
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珍妙宣伝 | “金利下げでヤミ金はびこる” |
二〇〇〇年六月に出資法の上限金利が40・004から29・2%に引き下げられました。商工ローンなどの高金利が強い批判を受けるなかでのこと。「もっと下げるべきだ」という声が強く、三年後に「見直す」ことも国会で確認されました。業界がもっとも恐れたのはことしの「見直し」でさらに引き下げられることでした。業界は、全政連を結成し、巻き返しにでます。
その「武器」になったのが「ヤミ金」問題でした。
全国貸金業協会連合会(全金連)は反ヤミ金キャンペーンを展開し、「ヤミ金融被害の急増は出資法上限金利の引き下げと時期が一致している」などと発表。“金利を下げるとヤミ金がはびこる”などと珍妙な宣伝を展開しました。
これを浸透させたのが政界工作。ことし五月の全政連総会に提出された議案書には、「与党を中心に、ヤミ金融問題の根源には29・2%への引き下げが大きな要因としてとりあげられるようになったことは…大きな成果」と書かれています。実際、公明党の日笠勝之参院議員などは、金利引き下げで「上限金利以上で貸し出す違法業者が増加している」などとホームページで説明しています。
与党はことし五月、現行金利の見直しを先送りすることを決定。日本共産党や社民党は金利引き下げを主張しましたが、野党全体の統一要求にはならず、結局、最終的に金利見直しは先送りされました。
その間、全政連はパーティー券購入だけでなく、懐石料理店での懇談などもおこなってきました。
全金連専務理事・前全政連会計責任者との一問一答要旨は次のとおりです。
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−−全政連の議案書に「議員及び政治団体主催の後援会等への協力」という項目があり、議員の名前が並んでいる。「協力」とは何か。
答 ほとんどパーティー券のおつきあいだ。パーティー券を「お願いしたい」ときたのに協力した。
−−総額千七百三十万円の渉外費から支出されたのか。
答 そうだ。渉外費はパーティー券購入がほとんどだ。食事などもある。
−−政党広報誌などの購読費用が百三十八万円もある。二〇〇一年収支報告書によると公明新聞(六十八万円余)も大量に購入していたが…。
答 それは変わらないと思う。「公明新聞」も「自由新報(自由民主)」もとっている。政策の本とかもある。
−−業界政治団体が政治家に献金して、要求実現を求める癒着の構図には強い批判がある。
答 私にはよくわからない。政治資金規正法に定められたパーティー券購入がいけないのなら全部だめということになる。