日本共産党

2003年8月14日(木)「しんぶん赤旗」

主張

国民年金

土台を崩してはならない


 「皆保険」といわれながら、国民年金保険料の納付率が二〇〇二年度で62・8%まで落ち込んでいることが明らかになりました。前年に比べ8・1ポイントの減少です。若年層だけでなく、すべての年齢層で未納率が増えています。

 将来、大量の低額または無年金者を生み出す危険を抱えている事態を放置できません。

保険料が高すぎる

 政府は、徴収強化のための対策本部を設置しましたが、そのやり方は“保険料納付は国民の義務だから支払え”と、未納者を責め立てるものです。しかし、社会保険庁の調査でも明らかなように、未納の主な理由は、「保険料が高く、経済的に支払うのが困難」(64・5%)「国民年金をあてにしていない、またはあてにできない」(15%)というものです。経済の悪化とともに、高い保険料など年金制度のあり方に問題があることは明らかです。

 自営業者や無職の人などが加入する国民年金の保険料は収入に関係なく定額です。一九六一年の発足時は百円でしたが、いまでは百三十三倍の月額一万三千三百円です。

 しかも、年金受給に必要な資格期間は二十五年であり、満額の月約六万六千四百円を受け取るためには、二十歳から六十歳まで四十年間毎月保険料を払い続けなければなりません。未納があればその期間分は支給額が百パーセント減額され、収入が少なく保険料免除となってもその期間分は申請全額免除で三分の二、半額免除で三分の一が減額されます。

 〇二年度から免除基準を厳しくしたため、申請全額免除者が百三十三万人も減りました。結局、それらの人々が保険料を払えず、未納率を上昇させる要因となりました。収入が増えていないのに、徴収を強化しても問題の解決につながらないばかりか年金の切り捨てを招くだけです。

 政府の調査では二〇〇一年度末現在で、国民年金老齢年金の受給平均月額は約五万一千六百円です。高齢者は医療・介護の負担増を強いられる一方で、今年度物価下落を理由に年金額を切り下げられました。引き続き来年度の引き下げも計画されています。政府は公的年金のメリットとして物価スライドをあげていますが、引き下げの理由になるのではだれが信頼をよせるでしょうか。

 国民年金は、年金の一階部分(基礎年金)にあたるもので、公的年金制度の土台です。この土台が崩されれば、二階部分にあたる厚生年金などの制度も危険にさらされます。

 事態の打開のためには、基礎年金にたいする国庫負担を現行の三分の一から二分の一にただちに引き上げることが求められています。これは、九四年の国会決議をはじめとして、国民にたいする政府、国会の公約です。先送りは許されません。財源は、消費税など国民負担増ではなく、大型公共事業など無駄を削って生み出すべきです。

雇用拡大の方向こそ

 見過ごせないのは、小泉「改革」による雇用悪化が、国民年金の“空洞化”を促進したことです。失業などで厚生年金から国民年金に移った人やフリーターの多い若年層に未納がとりわけ多いことは、その端的なあらわれです。

 政府は、〇四年の年金改革に向けて、給付を切り下げ、保険料負担を増やす方向を示しています。これでは、国民の年金への信頼を取り戻すことはできません。暮らしを応援し、雇用を拡大する方向に軸足を置いた転換こそ求められています。


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