2003年8月9日(土)「しんぶん赤旗」
人事院(中島忠能総裁)は八日、二〇〇三年度の国家公務員の給与を、行政職で月額四千五十四円引き下げるよう国会と内閣に勧告しました。昨年に続く連続の「マイナス勧告」。平均年収は五年連続でダウンし、年収のマイナス額は十六万三千円(2・6%減)と一九四八年に勧告制度が始まって以来、最大になります。
勧告は、官民の「逆格差」解消を口実にしていますが、大企業が大リストラに加えて賃下げ攻撃を強めているなか、勧告通りに実施されると、景気悪化の原因ともなっている個人消費をさらに落ち込ませ、日本経済を深刻化させるものです。
勧告の内容は、行政職の俸給表を平均1・1%の引き下げを基本にしています。配偶者手当は五百円引き下げ、期末・勤勉手当(一時金)も〇・二五カ月削減し、一時金の年間支給は四・四カ月にダウンします。
昨年に続いて不利益変更は過去にさかのぼらないとする原則を踏みにじり、四月にさかのぼって賃下げする調整措置を適用。四月以降の賃下げ分は十二月の期末手当で調整するとしています。
人事院勧告は、公務員労働者の労働基本権を奪っている「代償措置」として、労働者の利益を守る役割を負っています。日本政府は、人事院勧告がほぼ完全に実施され、「代償措置」は適切に機能していると主張してきましたが、六月のILO(国際労働機関)理事会でこの主張は却下されました。今回、二年続きで賃下げの人事院勧告がだされたことは、役割の放棄というべき事態になっています。