2003年8月1日(金)「しんぶん赤旗」
年間約二千三百万人が来園するという東京ディズニーリゾート。通勤を急ぐアルバイトや契約社員でごったがえす、ある日の早朝、JR舞浜駅前(千葉県浦安市)で「千葉労連」の赤い腕章をつけた組合員二十数人が「夢を奪う働かせ方に反対しよう」とビラを配布すると、通勤者が次々と手を伸ばし、約八百枚のビラが一時間でなくなりました。
「最近、ディズニーランドで働く二十代の女性が『朝七時半から夜の十時、十一時まで働かされ、人を増やしてというと“いやなら辞めてもらっていい”といわれた』と電話してきました。社会保険未加入問題を解決した三年前から、“何かあったら千葉労連”が青年たちの合言葉のようです」と同労連の本原康雄事務局次長はいいます。
地域経済の深刻さが青年の雇用に影を落としています。今春闘では、労働者の雇用不安を打開するために、消費税減税や中小企業つぶしの貸し渋り・貸しはがしをやめさせ、中小企業と地域経済の振興をはかる緊急対策をすすめることなどを盛り込んだ「景気回復署名」を持って、あらゆる団体と対話を広げ、共同をよびかけてきました。
「祝千葉県メーデー」「ちばの街の元気と景気回復こそ一番。寄ってらっしゃい! 買ってらっしゃい!」。五月一日、千葉市内の商店街にこう書いたポスターがいっせいに張り出されました。
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このなかで、二つの商店街振興組合がメーデーの趣旨に賛同。協力を約束した各商店・飲食店が割り引きや「ビール一本サービス」などのサービスをメーデー参加者に実施することで合意しました。
メーデー当日は、県知事と並んで商店街振興組合理事長が来賓出席し、「不景気のなかで労働者だ、自営業者だとお互いの利害をいっている場合ではありません。自営業者や経営者、労働者が一緒になって地域を活性化させることが必要です」とあいさつ。参加者は「そうだ」との歓声と拍手を送りました。
デモ行進終了後、メーデー参加者の五人に一人にあたる四百人以上が商店街のサービスを利用しました。
振興組合の事務局長は「メーデーが午後一時すぎに終了し、その後、多くの参加者が昼食をとったので、『一日で二度ランチタイムがあったようだ』と喜ばれた」、ある協力店は「メーデーに合わせて開店したところ、大勢のお客さんが来てくれた」と喜びました。
ある商店街は、飲食店やホテル、小売店など約九十店舗が加入しています。JR千葉駅の移転で流れが変わり、通行人が激減。一九九〇年に屋根付きのアーケードから、ガス灯や街路樹を整備して商店街のイメージを一新しましたが、長引く不況が追い打ちをかけ、幕張地域の大型開発でさらに客足が遠のきました。近隣には、大型ショッピングセンター構想も浮上しています。
千葉労連の山口哲雄事務局長は「振興組合側にはデモ行進を『またやっている』と違和感があったそうですが、私たちが商店街の景気回復を真剣に考えていたことに『熱いものを感じた』といって、すっかり意気投合しました」と話します。
対話と共同がメーデーを機会に広がり、この輪を大きくしていこうと労働者、中小業者の双方の努力が始まっています。
青年や労働者の雇用を守れ、地域経済破壊を許すな、と運動を広げてきた千葉労連は、昨年七月に県地方労働委員会の労働者委員に阿部百合子さんが任命されています。また千葉労働局から地域雇用促進会議委員、高年齢者雇用推進委員会委員の委嘱を受け、県の労働施策振興審議会委員に選任された人もいます。雇用と地域振興で経営者団体や自治体首長らとどんどん意見交換し、地方労働団体としての役割と責任を担ってきました。
十月には、長野県の田中康夫知事を招いて二千人規模の全国自治研集会が同地で開かれます。小泉内閣の中小企業犠牲の政策をやめさせ、地域経済を活性化する方向を探ろうとしています。