2003年8月1日(金)「しんぶん赤旗」
社会保険庁に勤務していた、山梨県山梨市出身の横森真二さん(当時二十三歳)の過労自殺をめぐり、両親の正保さんと鈴恵さんは三十一日、国を相手取り、一億二千二百五十九万円(慰謝料含む)の損害賠償を求めて甲府地方裁判所に提訴しました。
真二さんは九三年四月、社会保険庁に入り、九六年四月、中央年金相談室相談業務課電話相談係に異動しましたが、業務によるストレスと長時間労働によってうつ状態となりました。九七年四月に人事係に異動した直後に自殺しました。
両親は、死亡後ただちに公務災害として認定するよう、同庁に申し立てたものの、同庁は二年七カ月後の九九年十一月に却下。人事院への審査請求などを経て、二〇〇三年一月に、公務災害と認定されました。
このなかで真二さんの超過勤務は、自殺前一週間は五十四時間、一カ月間で百二十五時間と認定されています。
両親を支援する「働くもののいのちと健康を守る山梨センター」によると、国家公務員の過労死・過労自殺は数十件が公務災害として認定されていますが、損害賠償請求裁判を起こしたのは初めてです。同センターの保坂忠史事務局長は「同庁の責任を明確にし、二度と過労死・過労自殺を起こさせないための裁判」と話しています。
両親は裁判にあたって発表した談話で「公務災害補償通知書を持参した庶務課長からは、申し訳ないの言葉も、(同庁)長官からのおわびの言葉もなかった」と国側の対応を批判しています。