2003年7月31日(木)「しんぶん赤旗」
「ディーゼル車の排ガス対策。メーカーも負担を負うべきだ」。三十日、十月のディーゼル車排ガス規制の実施を前に、ダンプ・トラック業者や労働者、公害患者らが「7・30 ディーゼル車総行動」を行い六百人が参加しました。自動車各メーカーや政府、東京都などに有害な汚染物質を除去する後付け装置の開発・実用化を求めました。主催は、東京大気汚染公害原告団・弁護団など七団体でつくるディーゼル車対策共闘会議。
「公害を垂れ流すディーゼル車を売ったメーカーには責任はないのか」。環境、国土交通、経済産業の三省共同交渉には百人が参加。メーカー責任を激しく追及する参加者に、各省担当者は回答不能に陥りました。
「ダンプを買う時メーカーの言われるままに買った」。東京・三鷹市の大平世志子さんは「それなのになぜメーカーの責任はないのか。私たちは、ダンプを買わないと仕事ができないんです」と激しく詰め寄りました。実際、六月末から三週間仕事がありません。
十月から国の「NOX(窒素酸化物)・PM(粒子状物質)法」が実施されますが、現在走っている使用過程車に取り付けるNOX・PMを両方減らす後付け装置の開発はされていません。そのためユーザーは不況下、規制をクリアしている新車へ買い替える以外にない状況です。
同共闘会議は各省に対して、メーカーに後付け装置の開発を促すことを再三要求し「指導」を約束させていました。
しかし、この間の自動車メーカーとの交渉では「そんな指導は受けていない」「新車開発の邪魔になる」など、事実上、開発を放棄する回答があったためNOXとPMの両方を除去する後付け装置の開発促進を「文書」で要請することを求めました。
これに対して環境省は「国会で開発を促すことを答弁している」として「文書」による指導を拒否。同省は「『口頭』で自動車工業会を通してやった」と答えたことに参加者は「それでは、やっていないと同じだ」「文書でやれない理由があるのか」と激しく詰めよりました。
ディーゼル車総行動の参加者は同日、日本自動車工業会、日本経済団体連合会やトヨタなどの自動車メーカー各社らと交渉、社会的な責任を果たすことを要請しました。
要請項目は、現在使っている車に汚染物質を除去する後付け装置の早期開発・実用化のほか、リコールの届け出等に関する取扱要綱にもとづく「改善対策の届け出」を国土交通省におこなうことなど。
自動車買い替え費用負担が困難な「三千九百五十社のトラック業者が廃業・倒産」(三菱総研)の懸念がでていることなどを訴えました。