2003年7月31日(木)「しんぶん赤旗」
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小泉「構造改革」と大企業のリストラ攻撃から雇用や地域経済を守り、活性化させるために知恵と力を合わせようと労働者や中小業者、日本共産党の地方議員、さらには自治体関係者も参加する草の根の運動が各地で始まっています。
新潟平野の中央部に位置し地場産業と金属加工技術が集積する新潟県燕市。四百年続いている金属製品の製造は、和くぎややすり、銅器から、金属洋食器、金属ハウスウエア(食卓台所用品)へと拡大してきました。
技術力が優れている燕の製造業者は単品加工を中心とする企業が多く、競合する中国などからの安価な商品の流入で苦境に立たされています。
同市の製品出荷額は、一九九一年の二千三百七十一億円をピークに、数年を除いて〇二年には約六割の一千四百億円台まで落ち込んでいます。
とりわけ金属洋食器、金属ハウスウエアの落ち込みが激しく、九〇年の三百七十八億円、五百六十三億円が〇一年には百二十八億円、三百八億円とそれぞれ激減。一方で、金属ハウスウエアのアジアからの輸入は、九一年に八億九千万円だったものが、〇一年には十七倍の百四十八億三千万円と驚異的な増加です。
この産地の危機をどうするのか。公共事業と工場誘致などゼネコン・大企業優遇の産業政策をとり続けてきた自民党県政は、地場産業対策に目を向けざるをえなくなりました。〇一年に燕、三条、見附、五泉の四市と連携し「地場産業振興アクションプラン」を策定することを決めました。
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市の策定委員会には、商工会議所や工業組合の専務理事、メーカー社長らとともに、小規模事業者の代表として燕民主商工会の早渡(はやと)伊一事務局長が市長の要請で専任されました。
さらに、同市が実施した下請け業者の実態調査に商工会議所と燕民商が参加。市の小規模事業所活性化検討委員会は、十人の委員のうち五人が民商役員です。
策定委員会は、形式的なアンケートではなく、より実態をつかむために九十社を訪問し現地での聞き取り調査を実施。産地振興の考え方やプラン実施について、各団体から意見を集約しました。
これらをもとに、策定委員会は十数回の会議を経て〇一年九月、〇二年度から三年計画の「地場産業アクションプラン」を策定しました。
同時に、策定委員の早渡氏と燕民商も、中小業者との交流会を頻繁に開き、振興策の提案や希望事業を同委員会に提出。全業者の掌握や休業・傷病手当金制度の創設など八項目がアクションプランに盛り込まれました。
「燕には伝統産業があり、幅広い企業の要求がある。アクションプラン策定にあたっては、小規模事業者の実態をよくつかんでいる民商の代表が入ったことで画期的な委員会になった」。六月下旬、調査のために同市を訪れた笠井亮前参院議員ら日本共産党リストラ反対、雇用を守る闘争本部のメンバーに、高橋甚一市長は語りました。
そして、「プランを三年で終わりにするのではなく、国や県にその成果を報告して継続して支援してもらうよう要望したい」と訴えました。
笠井氏は「地場産地がこんなに努力しているのだから国がもっと応援することが大事です」とのべ、党としても全力をあげたいと表明しました。
同市では、昨年九月市議会に日本共産党市議団が「燕市中小企業振興条例」を提案。その後の調査活動や討論を通じて、「条例は産業界への応援歌だ」(市議会議長)と賛同が広がり、十二月市議会で全会一致で可決。燕市にある地場産業支援センターは市内の業者の半数に利用され、技術開発や販路開拓などの支援を強化し、出荷額減少に歯止めをかけようと努力しています。
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「リストラ反対、雇用と地域経済を守る全国交流集会」が九月三、四両日、静岡県熱海市のニューフジヤホテルで開かれます。全労連、全商連、新日本婦人の会、自由法曹団、日本共産党の五団体が実行委員会をつくってよびかけ、職場、地域での新しい運動の発展をめざして交流します。