2003年7月29日(火)「しんぶん赤旗」
サラ金大手「武富士」(東京都新宿区)が、今春までの過去二年間にわたる未払いの賃金計約三十五億円を従業員と退職者約五千人に対して支払ったことが二十八日、分かりました。会社の指示で従業員に常時サービス残業をさせていたとして、労働基準法違反の疑いで厚生労働省大阪労働局の家宅捜索を受けていたもの。
同局は同社と役員ら幹部数人を同法違反容疑で書類送検します。
調べによると、同社は大阪府内の複数の支店で従業員に労使協定の範囲を超える時間外労働を強いた上で、同法で定められた割増賃金の適正な支払いを怠っていた疑いが持たれています。同局は今年一月、本社などを家宅捜索して関係資料を押収、容疑の裏付けを進めていました。
未払い賃金の支払いについては今年二月、元従業員二人が同社を相手取ってサービス残業未払い賃金の支払いを求めた民事訴訟で和解した際、同社が全社的な実態調査を行った上、過去の未払い賃金を支払う考えを示していました。その結果、時効が成立していない過去二年分にさかのぼって支払うことにしました。
同社は、支店長については「管理監督者」に当たるとして、残業代の支払いを拒み、元支店長らと東京地裁などで係争中です。
武富士のサービス残業問題では、大阪地裁に未払い賃金請求訴訟を起こした大阪の元支店長・御木威(おんき・たけし)さんが、「しんぶん赤旗」日曜版2002年9月22日号に「武富士のこわい内幕」として、全国紙では初めて実名で告発しています。「二年間で二千五百五十二時間の時間外労働をしながら、実際にもらった賃金は、武富士が勝手に定めた時間分(四百七十九時間)しかもらっていない」と訴えていました。