2003年7月25日(金)「しんぶん赤旗」
国民から受け取った通行料や公的資金で運営している日本道路公団(藤井治芳総裁)が「ムダ」と批判される高速道路建設事業に関連して、公費で自民党などの国会議員と酒食をともなう会合を繰り返していた――。そんな実態が、日本道路公団から日本共産党の大森猛衆院議員(比例南関東)に提出された資料で二十四日までにわかりました。
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この資料は、一九九八年度から二〇〇〇年度の三年間に公団が国会議員を相手に開いたとする酒食をともなう「会議費」六十四件にかんするもの。大森議員が六月四日、七月二日の衆院決算行政監視委員会でこの問題を取り上げ、資料の情報開示を請求。これにたいし、公団が、会食許可を得るための起案書「会議開催伺」と料亭など飲食店からの請求書を提出しました。
「会議開催伺」には、「会議」の目的と、相手方の役職または氏名、公団側参加者の役職がしるされています。
「会議」の場所は、料亭、割烹、すし屋、焼肉レストラン、鳥料理店など。請求書には料理やビールなどの代金が一回ごとに記入され、六十四件の飲食費総計は、約六百六十八万円。
「会議」の名目は、「第二東名事業計画に関する打ち合わせ」「東九州道事業計画説明」など、その必要性、緊急性が問われる高速道路建設推進にかかわるものが多く含まれています。
六十四件中、四十二件で、国会議員の実名・役職が記載されており、自民、公明など二十五議員(その後落選、引退含む)の名前が出てきます。
自民、公明など与党議員を中心に結成された高速道路建設推進議員連盟の会長を務める村岡兼造元官房長官(衆院秋田三区)は、秘書とともに九九年六月二十八日の「会議」に出席していました。場所は、東京・六本木の飲食店。議題は、「日本海沿岸東北自動車道整備推進及び秋田道四車線化推進について」。公団側の参加者は東北支社長、副総裁、理事ら五人で計二十九万三千九百十一円の支出、一人あたり約四万二千円の飲み食いでした。
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また、野呂田芳成衆院議員(秋田二区)は秘書官とともに東京・大田区の料亭で「日本海沿岸東北自動車道の整備推進について」、公団側の四人と会食しています。計六人で酒二十六本、ビール十本など。
公団は、大森議員への資料提出に先立って、すべての国会議員に出席の有無を確認しました。
これによると、前出の村岡議員は計四回、相手側として名前が記載されていますが、いずれも「返納済み」と回答。野呂田議員も三回名前が出てきますが、「返納済み」としています。
ほかに、「返納済み」と回答したのは、旧建設省出身の根本匠内閣府副大臣(衆院福島二区)、自見庄三郎元郵政相(衆院福岡十区)。「当日負担済み」と回答したのは、江藤隆美元建設相(衆院宮崎二区)。
相手側として四回記載があった自民党高速道路のあり方に関する検討委員長の栗原博久衆院議員(新潟四区)はじめ、同議員連盟副会長の谷洋一元農水相(衆院兵庫五区)ら六人は、「出席したかどうか確認できない」と回答しています。
古賀誠自民党前幹事長ら四人は「出席していない」と回答しています。この場合、“カラ接待”だった疑いもありますが、公費が支出されたことは疑いありません。
さらに、十人は公団に回答をしませんでした。
このうち、公明党・大口善徳衆院議員(落選中、静岡一区)が出席した、二〇〇〇年二月、「第二東名高速道路の建設状況について」の「会議」費用として、「食事、ビール」代九千円が記載されていました。大口氏の事務所は、二十三日、本紙の問い合わせにたいし、「当方が負担すべきものと考え、四千五百円払った」と回答しましたが、公団総務部会計課によると「二十三日付で返納された」としています。
大森猛衆院議員の話 一回あたり平均十万円を超す費用は道路料金収入などから支出されたものです。公団、政治家がいかにユーザーの常識から、かけ離れているかを示しています。藤井治芳総裁は昨年十一月に酒食の経費を返金し、接待を受けた政治家のなかにも返金した議員もいますが、このこと自体、公団業務に必要でなかった会議だったことを浮き彫りにするものです。