2003年7月24日(木)「しんぶん赤旗」
日本共産党の志位和夫委員長が二十三日の党首討論でとりあげた『国民生活白書』(二〇〇三年版)では、若年の就業構造変化によって経済社会に次の四点にわたる問題を引き起こすと分析しています。
〔第一〕フリーターであることによりフリーター自身が、不利益を被ったり、不安を感じたりすることが多いと考えられる。正社員に就いていないとさまざまな面で不安定となることから、フリーターの多くは正社員になることを希望しており、より安定した職業に就きたいと考えている。
〔第二〕若年の職業能力が高まらなければ、日本経済の成長の制約要因になるおそれがあると考えられる。失業したり、パート・アルバイトをしている間は十分な職業能力開発の機会が得られないため、このような人の職業能力は高まりにくい。職業能力を蓄積できない人が増加すれば、日本全体の生産性を押し下げる要因になり、日本経済の成長を阻害するおそれがある。
〔第三〕社会を不安定化させると考えられる。今後の若年の就業形態は画一的なものではなくなり、引き続き日本的雇用慣行の下、企業に守られ企業による就業教育や年功賃金を享受することができるグループと、企業から一定の距離を持ち、自ら将来設計を立てていかなければならないグループとに二極化していくものと考えられる。そうした中で、失業者や身分の不安定なパート・アルバイトが増加すると、若年犯罪の増加などの社会不安が生じる可能性がある。
〔第四〕未婚化、晩婚化、少子化などを深刻化させると考えられる。パート・アルバイトや収入のない無職の人が増加すると、結婚して世帯を持ち、子どもを生んで育てることが困難になり、未婚化、晩婚化、少子化などを助長する懸念がある。