2003年7月22日(火)「しんぶん赤旗」
【カイロ21日小泉大介】米英軍による四月九日のバグダッド制圧から百日をこえました。しかし、米英軍占領下でイラク国民が一定の統治権限をもつ統治評議会が十三日に発足して以降も、米軍への抵抗・襲撃は激化し、米軍撤退を求める国民のデモや集会も勢いを増しています。一連の事態は、日本政府が計画している自衛隊派遣の危険性と、それがイラク国民にとって受け入れ難いものであることを、日々明らかにしています。
イラクでの米兵の死者は、五月一日にブッシュ米大統領が戦闘終結宣言をして以降、戦闘や攻撃によるものだけで三十八人(二十一日現在)にのぼっています。統治評議会発足以降は七人が死亡しており、イラク側の抵抗の激化ぶりを示しています。イラク戦争開戦以降の米兵の死者の合計は百五十二人で、一九九一年の湾岸戦争時の百四十七人を超えました。
二十日には北部モスル近郊の米軍部隊が移動中にロケット弾を浴び、二人が死亡しました。同地域は比較的親米色の強いクルド人が実質的に支配しています。イラク全土での米軍への怒りの強さを物語ると同時に、「イラク全域で戦闘行為にある」「相手は古典的なゲリラ戦を展開している」(十六日のアビザイド米中央軍司令官の会見)との米軍の認識を裏付けています。
米軍はこの間、「砂漠のサソリ」「砂漠のガラガラヘビ」「ツタのヘビ」などと名づけた旧フセイン政権残存勢力の掃討作戦をし、千二百人以上のイラク人を拘束し大量の武器を押収しました。しかしイラク側の抵抗は激化しています。
十六日朝にはバグダッド市内西部を走行中の米軍車両が何者かに攻撃され、米兵一人が死亡、三人が負傷。アラブ系テレビは、子どもを含めた約百人のイラク人が現場に集まり歓声を上げている場面を映し出し衝撃を与えました。
「若きイスラム教徒」を名乗るイラク人グループは十八日、アラブ系テレビを通じ、「治安維持活動のために軍隊を派遣することを決めた、すべての国を攻撃の標的とする」との宣言を発しました。