2003年7月19日(土)「しんぶん赤旗」
福岡県地方労働委員会の労働者委員任命にあたって麻生渡県知事が県労連の推薦する者を排除したのは違法だとして任命取り消しを福岡県労連などが求めていた訴訟で十八日、福岡地裁(亀川清長裁判長)は判決を出しました。判決は、訴え自体は原告適格がないとして退けたものの、「県労連推薦の候補者を排除することを意図して任命しなかったと認めざるを得ない」として、麻生知事に対し「裁量権を逸脱した」と明確に違法性を認めました。
原告弁護団長の山本一行弁護士は、「地労委労働者委員の任命をめぐって、いくつかの県で裁判が提起されたが、はっきりと違法性を認めた判決は初めて」と語りました。梶原恒夫弁護士は「知事の違法性を明確に認定した判決で、裁判所が知事に『違法だから正せ』と突きつけたもの」とのべました。
福岡県地労委労働者委員は次期任命時期にあたっており、西嶋正男・県労連議長は、「県労連の推薦する労働者委員実現の展望が大きく開けた」とのべました。
県労連は同日夜、福岡市内で判決の報告と次期任命実現の集会を開催し、任命実現に向けた行動を週明けから強めることを確認しました。
地労委労働者委員の任命をめぐる福岡地裁判決は、県労連排除の違法性を明確に認める初めての判断を下しました。八月一日には麻生知事が次期労働者委員を任命することになっており、大きな影響を与える判決です。
県労連と連合福岡が結成された一九八九年以来、福岡県では、労働者委員九人全員が、連合福岡加盟の労働組合が推薦する者に任命され続けてきました。
労働者委員の任命にあたって、異なるローカルセンターがある時は、その組合員数に比例させることは、一九八九年までは全国で当然のことでした。
組合員数を比べると、連合福岡は二十一万人、県労連は三万六千人。比率は、八対一・三七であり、県労連から一人以上が任命されるはずです。
判決は、「県労連と連合福岡の結成後はそれまでと明らかに異なり、連合福岡をいちじるしく厚遇するものであった」と認定。「県労連排除を意図して、県労連推薦という理由だけで任命しなかった」と認めました。
麻生知事が判決を真摯(しんし)に受けとめるならば、県労連が推薦する労働者委員を任命する以外にとるべき道はありません。
県労連は声明で、労働者の雇用と生活が脅かされ、不当労働行為が後を絶たない情勢をあげて、「地労委が本来の機能と役割を発揮することが求められる」と指摘しました。そのためにも、地労委の改善、県労連推薦の労働者委員の実現は急務です。(山本弘之記者)