2003年7月19日(土)「しんぶん赤旗」
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日本共産党創立八十一周年記念講演会が十八日夜、東京・千代田区の日比谷公会堂で開かれました。不破哲三議長が「党綱領改定について。市民道徳について」と題して講演しました。会場には、定刻前から続々と参加者がつめかけ、午後六時半の開会の時点で、二千余の席は満席に。約二時間にわたったスケールの大きな話に、「世界と日本の現在と未来まで見通した話に目を見開かされた。びっくりだ」(東京・江東区の七十四歳の男性)など、随所で驚きの声があがりました。講演の模様は、CS衛星通信で、都道府県委員会、地区委員会が設けた各会場に中継され、多くの党員、後援会員、支持者が熱心に視聴しました。
記念講演にたった不破議長は、筆坂前参院議員のセクハラ問題での処分について「この発表が、全国の党員、後援会員、支持者の心を傷つけ、怒りと悲しみを呼びおこすかを考えると、大変つらい決定だった」とのべました。それでも処分の決定と発表を避けるわけにいかなかったのは、市民道徳と社会的道義を厳しく守るということが日本共産党と国民の関係をささえる最も重大な問題だからだと説明し、党中央を代表しておわびをのべました。
綱領改定問題では、まず、「日本が二十一世紀に避けることのできない二つの大きな問題」として、日本の独立と主権を回復する問題と、日本経済の弱点にメスをいれる問題を提起。イラク戦争への対応や労働者を守るルールの欠如など、日本が直面する現実の問題をするどく告発しながら、改定案が現綱領から引き継ぎ充実させた民主主義革命の内容を鮮明にしました。そして、小泉内閣の「改革」のエンジンはまったく逆向きだと批判。自分の足で歩く主権国家、国民の暮らしと労働が大切にされる社会への大変化が民主主義革命だとのべました。
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また、天皇制や自衛隊問題で「妥協のしすぎ」との誤解を解いてていねいに説明。「正義の旗をどのように現実のものとして具体化するのかに真相がある」とのべると大きな拍手がおきました。
世界情勢では、「頭が古い」「まだマルクスか」という批判に、「今の資本主義社会を究極の社会と考えているのか」「マルクスは過去の思想家と考えているのか」という二つの反問を提起。アメリカの有力週刊誌のマルクス特集などを紹介しながら、資本主義の総本山でも、かつて植民地だったアジア・中東・ラテンアメリカでも資本主義を乗り越える新しい模索がうまれているのが二十一世紀だと強調しました。
未来社会論では、“利潤第一主義”を克服するかなめである生産手段の社会化によって切り開かれる豊かな未来社会の可能性を展開。人間が全面的に発達する社会、環境問題でも経済に計画的に働きかける社会、むだをはぶき能率の高い社会などの角度から、魅力たっぷりに描きました。
最後に不破氏は、「綱領改定案は当面の課題とともに日本共産党の理想の旗を明確にしたもの」と強調。「日本と世界の現実に足を踏まえつつ国民とともに切り開く日本の未来を大胆に展望する政党、市民道徳の面でも国民の信頼に値する政党に成長発展することに力をつくそう」と訴え。
きたるべき解散・総選挙で二十一世紀の日本を開く選挙となるよう知恵と力をつくして奮闘しようと呼びかけ、大きな拍手に包まれました。
十八日に開かれた日本共産党創立八十一周年記念講演会でおこなった不破哲三議長の記念講演の要項は次の通りです。
(一)綱領路線の真価は民主主義革命論にあった
(二)この日本で、どうして民主主義の革命か
(1)従属国家から本当の独立・主権の国家へ
(2)日本経済の弱点・欠陥にメスを入れる民主的改革を
(3)これを実行したら、日本と国民の歴史が変わる
(三)綱領のどこを改定したのか──民主主義革命論をより現実的で合理的なものに
(1)民主連合政府と民主主義革命
(2)天皇制の現在と将来
(3)自衛隊は段階的解消
(4)どんな問題も、国民主権の立場で道理ある解決の道を
(一)資本主義の総本山でも、マルクスへの尊敬と注目が広がっている
(二)もう一つの世界(アジア・中東・アフリカ・ラテンアメリカ)では……
(三)日本共産党の野党外交の経験から
(一)レーニン以来の未来社会論には大きな問題があった
(二)経済の進んだ国の挑戦として、世界で先例のないもの
(三)切り替えのかなめは、「生産手段の社会化」
(四)「資本が主人公」の社会から、「人間が主人公」の社会へ
(五)具体的な道筋は、それぞれの国民がきりひらいてゆくもの
イ、どんな改革も国民の合意によって
ロ、「社会化」の形態は多様だが、「生産者が主役」が原則
ハ、市場経済を通じて社会主義へ