2003年7月17日(木)「しんぶん赤旗」
竹中経済財政・金融相に対する問責決議案が、自民、公明など与党三党の反対で否決されました。
国会では与党が多数で押し切りましたが、国民が小泉内閣の経済・金融政策に信任を与えたわけではありません。
経済の実態を見れば、小泉首相と竹中大臣の「構造改革」路線の破たんが鮮明に浮かび上がっています。
小泉内閣は米ブッシュ政権の要求に従って、発足当初から「不良債権の早期最終処理」を最優先課題に掲げてきました。二、三年と期限を切って銀行に無理やり不良債権を処理させるのですから、倒産と失業を増やし、急速に不況の深刻化を招いたのは必然的な帰結です。
経済財政諮問会議の中心に座って、この政策を主導してきたのが竹中大臣です。
小泉内閣と竹中氏の主張は、不良債権を処理すれば、非効率な部門から効率部門に人も資源も移動させることができるし、金融不全も解消できるというものです。
しかし、この二年の現実は、それが完全に誤っていたことを証明しています。失業は劇的に悪化し、金融はますます委縮してまひ状態を引き起こしているではありませんか。
しかも、景気の悪化で経営難に陥る企業が増加し、いくら処理しても新たな不良債権が次々と発生する深みにはまりこんでいます。
そもそも、竹中大臣らの主張は日本経済の実態を無視した暴論です。
竹中氏が経済財政相に就任した二年前は、消費が冷え込む一方、生産能力は有り余るという状態が不況を深刻にしていた時期です。消費と生産能力の格差は九兆円負担増を強行した九七年から拡大し続けていました。日本経済は金額にして数十兆円もの需要不足に陥っていたのです。
そこで家計を痛めつける政策を取るのは、坂道を下る経済をドンと突き落とすようなものです。
ある経済学者が「いす取りゲーム」に例えています。ゲームの参加者、つまり企業よりも「いす」=需要の方が相当少ない状態では、努力にかかわりなく必ず行き場のない企業が出る。不良債権はどんどん発生するし、ほうり出された人も資源も、多くは効率部門にもどこにも行けずに取り残されてしまいます。
小泉・竹中流の「構造改革」路線は、数少ない「いす」をさらに減らす暴挙にほかなりません。
とりわけ「竹中プラン」です。竹中大臣が昨秋から金融相を兼任するようになり、米政府の言いなりとなって、不良債権処理を加速させるとして打ち出しました。
「竹中プラン」は中小金融機関だけでなく、「りそな危機」のように大手銀行をも危機に追い込んでいます。揚げ句に二兆円の公的資金の投入です。中小企業には、これまで以上に過酷な貸しはがしと貸出金利の一方的な引き上げが押しつけられ、金融の危機を加速させています。
医療費値上げや庶民増税など四兆円を超える国民負担増は生活と健康を破壊し、日本経済の需要不足を一段と深刻にしていくでしょう。雇用破壊を広げるリストラ応援・奨励の政策とともに、国民の不安をいっそう大きくして、経済をさらに委縮させる方向です。
大失政が大失政を呼ぶ泥沼というほかありません。
もはや小泉内閣と竹中大臣に、日本経済のかじを取る資格のかけらもないことは明らかです。一刻も早い退陣を求めます。