日本共産党

2003年7月16日(水)「しんぶん赤旗」

社会リポート

機内迷惑行為 改正法で罰金

トラブル恐れ… 会社側

規制強化求める 乗務員


 携帯電話、セクハラ、喫煙、飲酒のトラブル…。そんな航空機内の迷惑行為を取り締まる航空法の一部改正案が十一日、参院本会議で全会一致で成立しました。客室乗務員が注意しても指示に従わない場合は五十万円以下の罰金刑となります(来年一月施行)。迷惑行為の実態をみると−−。(米田 憲司記者)

深刻な問題

 航空機内での迷惑行為(機内安全阻害行為)が急増しています。

 国内航空各社にわたる客室乗務員連絡会が二〇〇三年に実施した客室乗務員へのアンケート調査があります。

 これによると、もっとも多いのが携帯電話の使用を注意したケースで、回答者の99・5%も。喫煙注意69・3%、座席ベルトの着用や手荷物の指示に従わない77・2%、セクハラ行為を受けた17・2%、飲酒トラブル12・8%−−などでした。

 具体的にみると「注意しても携帯電話を使用・スイッチを切らない」「トイレで喫煙する」「卑わいな話を聞かされる」「体を触られ、誘われる」「盗撮された」「大声で騒いだり、暴言をはく」など…。

 これらは、航空機の安全にもかかわり、客室乗務員の人権のうえでも深刻な問題です。

 ところが、航空会社間のサービス競争激化のなか、「お客様第一主義」をかかげ、利用客獲得作戦に大きな力を注いでいる企業の姿勢が、迷惑行為防止対策徹底の足を引っぱる要素になっています。

 利用客とのトラブルを避けたい意向が強く、事実上、改善がなかなか進まないのが実情です。

強制力必要

 同アンケート調査でも、客室乗務員の指示に従わない乗客について上司に報告すると「あなたの言い方が悪いのでは」といわれた事例や、「会社は乗客の言い分しか聞かない」といった会社側の対応を問題視する意見が目立っています。

 昨年二月、航空局長通達として航空各社に「機内迷惑行為防止に関する行動指針」が出されました。この内容は迷惑行為の起因となっているアルコール提供の自粛と手荷物の持ち込み対策等について指導していますが、迷惑行為に対しては法的強制力がありません。このため、航空労働者が中心になって、規制の強化を求めていました。

 日本共産党の大沢たつみ参院議員は十日の国土交通委員会で、「客室乗務員の話を聞くと、機内は気圧の関係で酔いが早く、迷惑行為の多くが過度な飲酒によるものだという。国内便で航空会社がアルコールを販売するのは安全運航を阻害することになる。アルコール販売は自粛すべきではないか」とただしました。

 洞駿航空局長は、アルコール販売について「快適な空の旅の一環であり、中止までは求めにくいが、航空関係者と協議していく」とのべました。セクハラに対しては「きぜんとした対応をとるようになっているが、新たにマニュアルを整備して適応させていきたい」と答えています。

 航空安全推進連絡会や航空労組連絡会、客室乗務員連絡会は十日、羽田空港で利用客に「飛行機の安全を守るのは乗務員と利用者のみなさんです」「機内安全阻害行為は罰金です」というビラを配布して、迷惑行為の防止を呼びかけました。

 航空連の役員は「安全で快適な空の旅を提供する立場から法律の主旨を理解していただけるよう、今後も広く訴えていきたい」と話しています。


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