2003年7月11日(金)「しんぶん赤旗」
【ワシントン9日浜谷浩司】ブッシュ米大統領とラムズフェルド国防長官は九日、イラクで大量破壊兵器が発見されない問題について弁明しましたが、まともな説明ができませんでした。
ブッシュ大統領は同日、訪問先の南アフリカ共和国のプレトリアで、「フセインが世界平和への脅威だったことに疑いはない」「(戦争の)決定は正しかった」と強弁。一月の一般教書演説でフセイン政権がウランをアフリカから入手しようとしていると述べたことを「後悔しているか」との質問に対し、「逃亡中のフセインがいま何も買おうとしていないことは明らかだ」とはぐらかし、回答を避けました。
一方ラムズフェルド長官は同日、上院軍事委員会の公聴会で、「イラクに侵攻したのは、大量破壊兵器問題で劇的な新しい証拠がみつかったからではなく、それまでにあった証拠を、同時テロ以後の新たな視点で見直したからだ」と証言しました。これは、イラク攻撃前に米側が「決定的証拠」をもっていなかったことを認めた発言です。
パウエル国務長官は二月五日の国連安保理で、衛星写真をはじめ、イラク兵の会話の盗聴記録、移動型生物兵器実験室のイラストなど、兵器疑惑の「新証拠」を詳細に並べ立てていました。
|
日本共産党の小泉親司議員は十日の参院外交防衛委員会で、イラクの大量破壊兵器がいまだに発見されていないのに「イラク戦争には正当性がある」と繰り返す政府を強く批判し、この問題を解決するため国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)の活動を再開するよう、政府として占領当局(CPA)や国連安保理に要請すべきだと主張しました。
小泉氏は、「イラクの大量破壊兵器保有」を具体的な根拠を示さず断言していた小泉純一郎首相を批判し、「この問題をあいまいにしてはならない」と主張しました。
その上で、「大量破壊兵器の廃棄」を主要任務としている占領当局は、大量破壊兵器の捜索活動について「現在、文書類の分析をやっているので、それ以上のコメントはしない」とのべるにとどまっていることを紹介。「どこが大量破壊兵器問題で責任を持つのか明確でない」とのべ、UNMOVICの活動の早急な再開を訴えました。
しかし川口順子外相は「大量破壊兵器の最終的な確認は国連が行うのがのぞましい」とのべつつ、「捜索の段階でUNMOVICの活動再開を要請する立場は取っていない」と拒否しました。
小泉氏は、UNMOVICは査察再開を希望しているのに、占領軍は査察団受け入れの態勢を取っていないとの批判が上がっていることを紹介し、日本政府も占領当局と同様の立場だと批判しました。