日本共産党

2003年7月10日(木)「しんぶん赤旗」

自民長老たちの危ぐ


 「このままでは戦争を知らない世代の政治家がゆけゆけどんどんと日本が戦争を起こす国になりかねない」

 自民党で衆院当選七回の運輸相経験者が顔をゆがめました。東京・内幸町の日本プレスセンターでの政治記者たちの集まりでした。

 〇…イラク特措法案は紛れもない“戦時出兵”法案、現行憲法がまったく想定しない法律です。従来の自民党の安保・自衛隊政策の大枠からもはみ出します。

 河野洋平自民党元総裁は六月開いた自派のパーティーで「イラクに軍事行動を開始するときには国連決議もなしに紛争をはじめた。当初言っていた核兵器も生物兵器も見つからない。そういうこともはっきりしない時期に、イラク新法をつくるんだとどうしてあんなに熱心なのか。小泉総理の存念を聞きたい。国の政策を間違ってはいけない」と語りました。

 イラク特措法案を支持する無所属の元厚相は「イラク特措法案審議を聞いていると平和憲法はどこへいっちゃったのかという感じはするね」。

 〇…自民党のご意見番的な存在である後藤田正晴元副総理は「安保条約の適用範囲をいつのまにかアジア・太平洋にしちゃったいまではインド洋に海上自衛隊がいっている。アフガンのときはさすがに安保条約というわけにいきませんから特別措置法というのをつくった」「むやみやたらと(自衛隊を)外へ出したがる人がいる」(政界誌六月号)と、なし崩し的で強引な“出兵拡大”に手厳しい批判を加えています。

 元通産相は小泉政権の政治路線そのものへ疑問を向けます。「小泉内閣になって経済中心の国づくりから、政治的(軍事的意味含む)な国づくりの方向へかじが切り変えられてきている。アメリカにいわれるままにだ。このままいくと日本はひどい目に遭うのは間違いない」

 〇…小泉首相の軍事突出路線にたいして自民党内の政治経歴の長い政治家たちは、大きな危うさを感じ取っています。その声はしかし、つぶやきにとどまっています。

 後藤田元副総理は「いまの日本の政治はほんとうにほうっておくと危ないかもしれませんね」「日本の内外ともに危険な時期に入ってきて、雰囲気は昭和一ケタの(十五年戦争突入前夜の)雰囲気」(同前出)。自民党の大先達の“警世の言”に耳を貸す賢明さを、いまの自民党は持ち合わせていないのでしょう。「その時の雰囲気で」(小泉首相)とめどもない危険な海へ国民を引っ張り出そうとしている――。

 イラク特措法案を阻む世論が一挙にひろがる余地はまだまだ残っています。


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