2003年7月10日(木)「しんぶん赤旗」
国立大学法人法案は九日、参院本会議で、与党三党の賛成多数で可決、成立しました。日本共産党、民主党、国会改革連絡会(自由党など)、社民党は反対しました。
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法案は、教育研究の内容も含む六年ごとの中期目標を文科相が定め、中期計画を文科相が認可するとしています。学問への国の介入や、短期間で成果を求めることによる基礎研究の軽視につながりかねません。
中期目標・計画の達成状況は文科省や総務省内の評価委員会が評価し、その結果が予算配分に直結します。評価が適正に行われるか、小規模大学、地方大学に予算が回るかなど、不安がひろがっています。学長と学外者を含む理事による役員会のもとに、教育研究評議会と経営協議会(学外者を含む)が置かれます。教授会自治の形がい化や、理事への官僚の天下りによる人事面からの大学統制の強化も懸念されています。
これまで各国立大学で同一だった授業料は、標準額と一定の範囲を文科省が定め、その範囲内で各大学が定めることになります。全国学長アンケート(「朝日」六月二十九日付)では九十六大学中二十四大学が「学費は上がる」と考えていることが明らかになりました。学部別授業料の導入もあり得ます。教育の機会均等の土台を大きく崩すことになります。
反対討論にたった日本共産党の畑野君枝議員は、法案が「大学の自主性・自律性を阻害し、学問の自由を侵害する」と批判。「大学改革を言うなら、高等教育予算の大幅増額などを通じ、自由で創造的な教育研究を保障すべきだ」と述べました。
【学問研究】教育研究内容を含む6年ごとの中期目標・計画を文科相が定め、認可する
【大学予算】目標・計画の達成状況を文科省や総務省が評価し、予算配分に直結
【大学運営】学長と学外者を含む理事による役員会のもとに教育研究評議会と経営協議会が置かれる
【学費】授業料は標準額と一定の範囲を文科省が定め、その範囲で各大学が定める
【教職員の身分】国立大学法人の職員に自動的に継承、国家公務員としての身分は奪われる