日本共産党

2003年7月7日(月)「しんぶん赤旗」

年226万円の年金生活者で試算、14万円の負担増に

政府税調中期答申

高齢者に大打撃


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 “年金が事実上、課税対象から漏れている”と、公的年金等控除の見直しを打ち出した政府税制調査会(首相の諮問機関、石弘光会長)の中期答申(六月十七日)。政府は来年度税制「改正」で、これら高齢者にたいする控除の廃止・縮小をねらっています。実施されるとお年寄りに大増税です。これまで所得税、住民税が非課税だった人のなかにも課税される人が生まれ、国保料、介護保険料にも影響します。和歌山県橋本市に住む綿谷典弘さん(68)の場合、試算すると年間十四万円もの負担増という結果がでました。

新たに所得税、住民税

国保料、介護保険料も影響

 写植の会社をたたみ妻・まつゑさん(64)と年金生活に入った典弘さん。年金は月約十八万八千円。いまは所得税も住民税も非課税。介護保険料は、世帯の全員が住民税非課税の第二段階です。

 ところが政府税調「中期答申」の掲げた「年金課税等の見直し」がおこなわれると大変な実害がでます。「世代間の公平」をうたい文句に、お年寄りへの課税強化を打ち出したのです。

 典弘さんは、同市に住む知人で、自治体職員として長く課税計算に携わってきた佐々木磐夫さん(62)に、負担増の試算をしてもらいました。税調「中期答申」の具体化はこれからですが、公的年金等控除が縮小され、老年者控除が全廃された場合で試算しました。

 所得税も住民税も非課税の典弘さん(年金収入年二百二十五万八千円)ですが、新たに所得税が年四万四千六百円、住民税が同三万一千四百円課税されることが分かりました。これに連動して国保料は、年四万一千円アップ。介護保険料も住民税課税になるため、年二万三千円近く上がることに。負担増は合計、約十四万円にもなります(表参照)。

 まつゑさんの年金は年四十八万円と少ないため、改悪されても所得税、住民税とも非課税で変わりありません。

「国民一揆起こさな」

 「うわー、庶民への爆弾攻撃。こんなんムチャクチャや」。試算した佐々木さんは怒ります。「綿谷さんのようにこれまで非課税だったのが課税になる人、この人たちに介護保険料などが跳ね返って、増税にとどまらない大きな影響が出る」

 佐々木さんのかたわらで計算を見守っていた典弘さん。「うーん」と、うなったきりことばが出てきません。

 腕を組んで二人のやりとりを聞いていた、知人の泉敏孝さん(65)=橋本市=が口を開きました。

 「老人医療や介護保険の重い負担のうえに、今度は大増税。こんなとんでもない計画があることをもっと高齢者に知らせないかん。国民一揆を起こさないかん情勢と違いますか」


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