日本共産党

2003年7月6日(日)「しんぶん赤旗」

「操作ミス」説誤りハッキリ

暴走車事故の解明へ一歩

国交省「原因特定できた例だ」


 後を絶たない車の暴走事故。メーカーに苦情を申し立てても「運転者の操作ミス」「事故を再現できない」というのがほとんどのケースでした。今回、三菱自工が、製造上の欠陥を認めたことは「機械的な要因で暴走が起こりうる事例」(国交省)として暴走事故解明への新たな一歩になるものです。


写真
三菱の人気ワンボックスカー「デリカ」(同社カタログから)

 「デリカが暴走する」との苦情は、二〇〇〇年四月の北海道の事故に始まり、二〇〇一年十一月、二〇〇二年二月、三月、四月、六月、七月、十月、今年一月、二月と立て続けにメーカーに寄せられ、国土交通省にも報告されていました。

裁判中にも

 暴走はどのように起きたのか。北海道の国道5号で起きた事故は二〇〇〇年四月二十日午後七時五十分ころのことでした−−。函館方面から札幌方面にむけて運行中、対向車線に出て先行車の追い越しをかけたとき、アクセルレバーが全開状態となり、ブレーキを踏んでも減速せず、大型車と衝突したのです。

 ユーザーは欠陥車のせいだとして、札幌地裁に提訴、昨年の十一月二十二日、被告の三菱自工側に二百二十八万八千百五十円の損害賠償の支払いを命じる判決が下されました。(札幌高裁で今年三月に和解成立)

 裁判で三菱側は「操作ミス」などを主張し、ユーザー側と争っていました。裁判所は、「エンジンが高回転を続けるような状態が一定時間持続するなど異常事態の発生による」と、三菱側が主張した「運転手の操作ミス」を退け、損害賠償を命じたのです。

 三菱側は、暴走の苦情が立て続けに報告されている最中に行われていた裁判で「運転者の操作ミス」を主張していたことになります。

調査求める

 国土交通省リコール対策室も「暴走事故で物損事故までに至ったケースで原因が見える形で分かった例だ。暴走事故は大半の原因がつかめず、再現できない、異常なしとされてきた。(今後は)再現できないものも、詳しく調べるようメーカーに求めていきたい」といいます。


 PL(製造物責任)問題に詳しい中村雅人弁護士の話 暴走事故の原因が特定されることはきわめてまれです。暴走事故についてメーカー側はまともに調べようともしないで運転者の操作ミスと主張していることが多い。被害者に証明責任がある訴訟構造を乱用し裁判に訴えてみろという態度です。消費者が複雑なメカ原因を特定するのは難しい。PL法制定時に政府は「製品事故に関する情報は公共の財産だ」と答弁しています。メーカーは次の被害を食い止めるためにも消費者の苦情を真剣に検討してほしい。


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