2003年7月5日(土)「しんぶん赤旗」
「サービス残業」強要は現行法にも違反する企業犯罪です。この違法行為をやめさせ、残業には正当に賃金を払うこと、あるいはその仕事量を雇用拡大に結びつけること──。日本共産党はこれを主張しつづけています。
社会経済生産性本部もかつて、「サービス残業」をやめれば九十二万人、手当の出る残業も含めすべてやめれば二百六十一万人の雇用機会ができる、と試算したことがあります。完全失業者の多くに就業機会をつくる規模です。
「サービス残業」強要の背景には企業のリストラ・人減らしがあります。雇用拡大はこれを逆転させる発想です。個々の企業は人減らしを企業生き残りで必要と考えますが、経済全体では不況長期化の原因になり、企業の首も絞めています。
今回の第一生命経済研究所の試算が、「サービス残業」削減の実質GDP全体に対する効果に着目し、「押し上げ効果が期待できる」と結論づけたことは、合成の誤謬(ごびゅう)ともいえるリストラ・人減らし─経済悪化の現状を打破するうえで重要な指摘です。(篠田隆記者)