日本共産党

2003年7月5日(土)「しんぶん赤旗」

「サービス残業」なくせば 160万人雇用できる

第一生命経済研

GDP2.5%上昇


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 「サービス残業」をなくせば百六十万人の雇用が創出し、失業者減・所得増・余暇時間拡大で個人消費が増え、実質国内総生産(実質GDP)を2・5%押し上げる──。こんな試算結果が、第一生命経済研究所がこのほど発表した経済調査部・門倉貴史副主任研究員のリポート「不況下で増加するサービス残業」で分かりました。

 リポートは、労働者本人の申告をベースにした「労働力調査」(総務省)の労働時間と、事業所の賃金台帳をベースにした「毎月勤労統計調査」(厚生労働省)の労働時間の差を、タダ働きの「サービス残業」時間と推定して調査。最近の五年間(一九九八年─二〇〇二年)で増加テンポが加速していることに注目しています。

 この「サービス残業」をなくし、新規雇用に振り替えた場合の雇用創出効果を試算したところ、次のような結果がでました。

 (1)全産業で百六十一・六万人の常用雇用者が生み出される、(2)このため、完全失業率は現在の水準(三、四、五の各月とも5・4%。五月の完全失業者数は三百七十五万人)を2・4ポイント低下させる、(3)雇用環境の改善・「サービス残業」時間の削減は個人消費の回復につながる(実質雇用者報酬が3・8%増加する効果によってプラス2・7ポイント、「サービス残業」時間の削減による余暇時間の増大でプラス2・4ポイント、合計で5・1ポイント上昇)──など。

 同時にリポートは、「サービス残業」削減とそれによる雇用拡大は企業側には「収益の圧迫要因とな」り、実質設備投資には2・3%の下押し圧力がかかると分析しています。ただそうであっても、「個人消費の増加分と設備投資の減少分を合わせて、実質GDP全体に対する効果をみると、ネット(正味)ではプラス2・5%の実質GDPの押し上げ効果が期待できる」と、リポートは結論づけています。


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