2003年7月3日(木)「しんぶん赤旗」
嫌な思いにさせられる事態でした。
2年半、けがで一度も一軍のマウンドに登っていない投手に、大量のファン投票が集中する―。きっかけは、川崎憲次郎投手への投票を呼びかけたインターネット掲示板の書き込みでした。同じパソコンから、1日に千回以上の投票があったといいます。
顔が見えないネットを利用した、陰湿な“いじめ”とも思える行動。当初はファンの「期待票」とうけとめていた川崎投手も、中間発表で1位になってしまい、戸惑いを感じていました。
「たとえ選出されたとしても、いまの状況では胸を張ってオールスターゲームに出場することはできません」。ほんらいならば、栄誉あるファン投票1位。それを辞退しなければならなかった川崎投手の心中を思いはかると、心ない嫌がらせに憤りをおぼえます。
インターネットによる投票は、投票用紙を備える球場などがない地域のファンも参加できる利点があります。より多くのファンの意見を反映した球宴にしていくためにも必要な方法でしょう。
プロ野球選手やファンにとって、球宴は「夢の舞台」です。今回のような不正投票を防ぐシステムの確立とともに、スポーツとは無縁の悪意をもちこませず、汚い行為を許さない風潮をつくっていくことが大事です。
(代田幸弘記者)