2003年7月3日(木)「しんぶん赤旗」
森喜朗前首相が「子どもを一人もつくらない女性が、年とって税金で面倒みなさいというのはおかしい」と、個人の結婚や出産の自己決定権を認めず、女性を差別する暴言をしていたことに、女性団体などから批判の声があがっています。
暴言は六月二十六日、鹿児島市で全日本私立幼稚園連合会九州地区会が少子化や子育てをテーマに開いた討論会で出たもの。早大生らの集団暴行事件について自民党の太田誠一行革推進本部長が「集団レイプする人は元気がある」とのべたのと同じ場所で、テレビニュースで報道されました。
それによると森氏は「いいにくいことだけど、少子化のいま議論だからいいますが、子どもをたくさんつくった女性が将来、国がご苦労さまでしたといって面倒をみるっちゅうのが本来の福祉です」と切り出し、同席した太田氏と保岡興治衆院議員は「そうそう」と相づちを打ちました。
さらに森氏は「ところが、子どもも一人もつくらない女性が、好き勝手とはいっちゃいかんけど、まさに自由を謳歌(おうか)して楽しんで、年とって税金で面倒みなさいちゅうのは、本当はおかしい」とのべました。
森前首相は自民党少子化問題調査会の会長を務めています。二日、みずからの発言について記者団に問われ、「女性を差別する発言をするわけがない。こういう意見もあることを紹介しただけだ」と、自分の考えではないと説明しました。
この発言について一日、小泉純一郎首相は「議員同士の発言ですからいろいろ議論すればいいんじゃないですか」と受け流し、福田康夫官房長官は「国会議員が何をいったかということをいちいち聞かれても困る」とコメントを拒否しました。